黄飯は、くちなしの実で黄色に染めたご飯です。かつてはどこの家にも庭先にくちなしの木がありました。「かやく(加薬)」とよばれる汁けの多い煮物のような料理と一緒に出されます。必ずセットになっているので、しだいに黄飯にかやくをかけたものを「黄飯」と呼ぶようになりました。さらに色染めご飯がない「かやく」……
くちなしの実で山吹色に染めたおこわと黒豆があざやかな染飯は、江戸時代から東海道沿いの瀬戸町(現在の藤枝市上青島付近)の茶屋の名物として広く知られてきたものです。足腰を強くし疲労回復によいと評判で、戦国時代の紀行文『参詣道中日記《さんけいどうちゅうにっき》』や、織田信長の一代記『信長公記《しんちょ……
もち米だけを蒸したおこわと、煮小豆あるいは煮たささげを別々に盛りつけるのが特徴で、おこわをくちなしで黄色に着色することもあります。もち米は昔は貴重品だったので、結婚式などの祝儀には飯が赤い「赤飯」を、お盆や法事などの弔事には飯が赤くない「おこわ」を食べました。お盆には集まった親戚にふるまいますが……