県北西部に位置する諸塚村《もろつかそん》の料理です。村の94%は山林で、かつては林業、椎茸、茶、肉牛の複合経営が行なわれていました。 おひらと呼ばれる正月の煮しめは、春に収穫し保存しておいたぜんまい、たけのこ、自宅で栽培した椎茸、里芋、手づくりの豆腐の厚揚げ、こんにゃくが材料です。これにいわしの……
福井県は昔から真宗王国と言われるほど浄土真宗がさかんです。その宗祖、親鸞聖人《しんらんしょうにん》の遺徳に感謝する報恩講をはじめ、さまざまな行事のあとにみんなで食事をする「お斎《とき》」があります。一般的にはお斎は葬儀や法事でふるまわれる食事を指すことが多く、故人の供養のためと考えられているよう……
4月から5月にかけて、わらびのあとに出てくる山菜がぜんまいです。わらびはゆがいてそのまま食べますが、ぜんまいはかたいので、ゆでて乾燥させたものを戻して使うことがほとんどです。ぜんまいの戻し方は家庭や地域によりさまざまです。油と相性がよいので、油揚げと煮たり、炒め煮にします。昔は油揚げが貴重だった……
津軽地方を中心に食べられている冬の郷土料理です。大根、にんじん、ごぼうなどの根菜と、春にとって保存しておいたふきやわらび、ぜんまいなどの山菜、大豆、凍《し》み豆腐などがたっぷり入った実だくさんの汁で冬の野菜不足を補い、体をあたためる料理としてつくられています。 津軽では小正月を「女正月《おんなし……
切り干し大根やこんにゃく、干し椎茸、干しぜんまいやにんじんなどのたっぷりの具材を使った久住地方の白和えで、昔から冠婚葬祭のおもてなし料理として正式なお膳には欠かさず出されてきました。大人数の来客用に一度につくるため、大きなすり鉢で2人から3人がかりで「そらやれ」「ホイホイ」「それそれそれ」とかけ……
重箱にぎっしり詰められているのは、ぜんまいの一本煮、凍み大根や凍み豆腐、うど、身欠きにしんなど。秋田との県境にある西和賀では、盆や正月、祭りや冠婚葬祭などには乾物や塩蔵の山菜などを大鍋で煮て、必ず煮しめをつくります。 上にのっているのは、ぜんまいです。普段の煮物では食べやすいように切りますが、若……
県南西部で飛騨山地の北端にあたる五箇山《ごかやま》地方は、現在は南砺市に含まれますが、砺波平野とは急峻な山地によって隔絶されています。山々に囲まれ平坦地は乏しく、生活の場は山腹のゆるやかな斜面です。わらでしばって持ち歩くことができるほどかたい五箇山豆腐が有名で、山腹を利用した赤かぶの栽培と赤かぶ……