6~8月にかけてつくられる初夏のおやつです。5月頃にとれるそら豆(外豆《とまめ》)を乾燥させてとっておき、そのあんを6月からのびてくるみょうがの葉で巻きます。そら豆とみょうがの葉の香りに夏を感じます。 「ぼち」はもちのことで、小麦粉を練って蒸したものもこう呼びます。こねすぎないので噛み切りやすい……
まるでうちわのような大きなもちは、秋田県との県境にある県北、八幡平のもの。そば粉入りの生地を串に刺してから楕円形にのばし、ゆでます。じゅうね味噌をつけて焼くと、もちはやわらかく、焼けた味噌の香りが食欲をそそります。昔は武田信玄が使った軍扇《ぐんせん》を思わせるような大きく豪壮な串もちでしたが、現……
県の東南端、奥羽山脈に沿って岩手県や宮城県と接する東成瀬村に昔から伝わるお菓子です。見た目はようかんに似ていますが、もち米とあんが混ざったもので、食べると味はおはぎそのもの。秋田の代表的なお米スイーツのひとつです。近隣の横手市滝ノ下集落にも似たお菓子があり「滝ノ下でっち」として受け継がれています……
普通、梅干しはしょっぱいものですが、津軽では塩漬けして干した梅を甘く味つけ、赤じそでくるみ、甕《かめ》などに漬けて味をなじませてから食べます。適度な塩けと甘味、酸味が赤じその風味とよく合い、格別なおいしさです。ご飯と一緒にそのまま食べるだけでなく、刻んだものをご飯に混ぜておにぎりにすることもあり……
米、麦、大豆の3種の麹をつくり、なす、うりなどの夏野菜とともに発酵・熟成させたなめ味噌です。甘味と塩味に麹や野菜の旨みが加わり、おかいさん(粥)につけるとそれだけで食がすすみます。じゃこに少し酢をたらし、金山寺味噌をつけて食べるとおいしいという人もいますし、きゅうりなど生野菜につける食べ方も好ま……
かぶらずしは、正月の伝統的な料理として各家庭でそれぞれ腕によりをかけてつくり、親戚や知人に配ったものです。脂ののった能登のぶりは漬けこむとロースハムのようなピンク色になり旨みが際立ちます。かぶはより甘く上品な味わいになります。 魚と米(めし)を発酵させるなれずしとは違い、麹も加えて北陸のマイナス……
瑞浪《みずなみ》市、恵那市、中津川市などの東濃地域では、昔から、ひな祭りを月遅れの4月3日に祝う風習があります。そこで欠かせない「からすみ」はボラの卵ではなく、米粉を蒸した郷土菓子です。甘い米粉の生地に黒砂糖やくるみ、しそ、ゆず、よもぎなどを加えたり、色粉で色づけしたりと、家ごとに特徴のあるから……
会津地域で昔から食べられているそばです。高遠とは信濃の地名で、会津藩主・保科正之《ほしなまさゆき》が会津藩へと国替えする際、かつて藩主となった高遠のそば文化も一緒に伝えたことからこの名がつきました。 高遠ではそばを大根のおろし汁で食べる習慣があり、これが伝わった会津でも自生する辛み大根、あざき大……
県北で福島県との県境に近い日光市の湯西川《ゆにしがわ》地区は、県内でも秘境といわれるほどの山間の土地で、平家の落人伝説の地として古くから知られます。温泉が湧き出ており、昭和初期には米や食料を持参して自炊しながら逗留する湯治場でしたが、近年はホテルや民宿も多く立ち並ぶ秘境の観光地として発展していま……
昔から新島では、端午の節句に馬草萱《まぐさがや》と呼ばれるカヤの葉を利用してしょうぶだんごをつくります。島には馬草萱が至るところに生えており、節句が近づくとどの家庭でも、ハサミや鎌を持ってとりに出かけました。 だんご自体は他の地域と変わりませんが、葉の使い方が独特で、葉が茎についたままの状態でだ……
べっこうは、あめ色の美しい色とツルッとした食感が特徴の寒天料理です。冷たくすると口当たりがよく、食欲をそそります。冠婚葬祭、正月、祭事などの特別な日に欠かせません。めでたい日だけでなく、法事などの不祝儀でも膳にのります。普段の食事でも家庭で手軽につくられたり、スーパーで惣菜として販売されたりと、……
豊かな穀倉地帯の広がる津軽地域で、長く厳しい冬の寒さを利用してつくられてきた保存食です。やわらかめについたもちに、塩、砂糖、ごまを加えて拡げ、切れるくらいに固まってきたら、薄い板状に切り、ひもで編み、正月が過ぎて一番しばれる(寒い)日の夜にぬるま湯にくぐらせてから軒下に下げます。1~2カ月ほど干……
もち文化が根強く残る宮城県では、昔から祝いごと以外でももちを食べる機会が多くありました。凍みもちもその一つで、保存食として年間を通じて食べられてきました。砂糖や塩で味をつけたもちを乾かしてから薄く切り、冬の寒風にあてて凍らせながら干します。食べるときは、そのまま食べるほか、炒ったり、焼いたり、揚……
ゆでた小麦粉のもちを串に刺し、じゅね(えごま)味噌をぬって焼いた、小麦粉とじゅねの香りがする素朴でおいしい料理です。炭火で焼くことでさらに香ばしさが増し、味噌の少し甘めの味つけが後を引きます。おもに冬、南部地方でよく食べられており、今でも産地直売所などで販売されていて、ソウルフードとして親しまれ……
皮をこそげただけの小さめの里芋を丸ごと煮て、黒ごまの和え衣をたっぷり使い、いもが見えなくなるほどくるみます。一見、真っ黒で、初めての人は何かわからないですが、食べると濃厚な黒ごまの風味としっかりとしたいもの食感に驚きます。油が出るまですり鉢で1時間もすった黒ごまの衣は、とても滑らかで、かすかに里……
大分には小麦粉を使ったおやつがたくさんあり、じり焼きもそのひとつです。小麦粉を水でゆるく溶いた生地を広げて焼き、細かく刻んだ黒砂糖を巻いてつくります。 名前の由来は生地をじりじり焼くから、生地が「じりい(ゆるい)」からともいわれています。日田地方では「へこ焼き」とも呼ばれます。もてなし料理という……