徳島では家庭でも店でもお好み焼きをおやつや軽食としてよく食べます。つくり方は大阪のものとよく似ていますが、具に豚肉の代わりとして魚のすり身を揚げた平天《ひらてん》や、魚のすり身にパン粉をまぶして揚げたフィッシュカツを入れるのが徳島ならではです。 また、どのお好み焼き店にも「豆焼き」「豆玉」といっ……
人口10万人あたりの「たこ焼き店」軒数の第1位は大阪府だそうです。そんな大阪の味・たこ焼きは「ちょぼ焼き」「ラヂオ焼き」「明石焼き」などのいくつかのルーツの味(ページ下コラム参照)をとりこみながら大阪を代表する“粉もん”になりました。 今も昔も街中には子どもの小づかいで購入できる安価なたこ焼き屋……
大阪では、正月や夏祭りともなれば、神社や寺の境内には「いか焼き」の屋台が並ぶのが定番でした。たこ焼きの屋台もありましたが、それよりも店の数は多かったように思われます。それだけ手軽な軽食だったのです。 大阪の三大夏祭りのひとつといわれる住吉大社の住吉祭では、境内に臨時に設営された会場で「木下サーカ……
戦前の呉では、店で「一銭洋食」、家庭で「お焼き」と呼んだおやつがありました。メリケン粉(小麦粉)の生地に、魚粉やかつお節、ねぎ、とろろこぶ、青のり、天かすをかけて焼き、二つ折りにして醤油をかけたそうです。昭和35~45年頃にはお好み焼きと呼ばれ、キャベツやもやし、肉、卵などが加わりソース味になり……
県内の雑煮は「平もち(丸もち)で焼かない」という共通点はありますが、味つけや具が異なります。 東部と隠岐《おき》地域ではかつお昆布だしのすまし汁に、花かつおと雑煮用のもちのりをのせたのり雑煮。のりは、十六島《うっぷるい》のりという出雲市平田地区十六島地方でとれる、朝廷や将軍家へも献上されてきた天……
かつお節と味噌を湯のみやお椀に入れ、お茶やお湯で溶かすだけです。いわばインスタント味噌汁で極めてシンプルですが、削りたてのかつお節は香りが立ち、濃いうま味が口の中に広がります。 薩摩半島の南に位置する枕崎は遠洋漁業の拠点港で、かつお節生産量は日本一です。港町の朝は早く、慌ただしく茶節をかきこみ仕……
沖縄の方言でカチューは「かつお(かつお節)」、ユーは「湯」を意味しています。地域によっては、ヤカンから湯を注ぐことからヤカン汁とも呼ばれています。削り節と味噌、お湯があれば手軽にできる即席の味噌汁で、時間のない朝などにとても便利な一品です。削り節のうま味と味噌がよく合います。 食欲のないとき、二……
県中部で昔からなじみのおでん種といえば、黒はんぺん、すじ、ちくわです。黒はんぺんは静岡特産の練り製品で、さばやいわしを骨ごとすりつぶしてゆでたもの。すじは、かまぼこ製造の際に出た白身魚の皮や中落ちを材料とした練り製品で、緻密でしっとりとした食感と深い旨みがあります。これらいろいろな練り製品を、特……
煮汁におかか(かつお節)を加え、煮上がってからもおかかをまぶした豆腐の煮物です。豆腐の煮すぎは禁物といいますが、スが入るまでしっかりゆでて(煮抜いて)から調味料で煮ると豆腐がかたくしまり、豆腐を直接煮汁で煮たものとは全然違った食べごたえと味わいになります。江戸時代に書かれた『豆腐百珍』にも「煮抜……