徳島県のばらずしは、かき混ぜと呼ばれ、具だくさんで、金時豆の甘煮が入り、すし飯に木酢《きず》を使うのが特徴です。木酢とは、ゆずやすだち、ゆこうなどのカンキツ類の果汁のことで、カンキツが豊富な徳島県ではよく利用されます。産地では冬になると1年分の木酢をしぼって一升瓶に保存し、いつでも使えるようにし……
宮崎県北部、日向灘《ひゅうがなだ》に面する延岡《のべおか》市で、昔から祭りに必ずつくるのが魚ずしです。鯖、あじ、いわし、かますなどそのとき手に入る魚を使ったにぎりずしで、日持ちするように魚はしっかり塩をしてから白くなるまで酢じめにします。特産の平兵衛酢《へべず》というカンキツを使うこともあります……
すし飯がぎゅっと詰まった、ご飯をたっぷり食べる押しずしです。紺と赤の鮮やかないろどりは、p61の柿の葉ずしと同じ、「紺のり」と桜えびの取り合わせ。すしの底には酢漬けの魚が隠されています。押しずしタイプは金沢市周辺でよくつくられています。 酢漬けの魚は、かつて春はいわし、秋はシイラといわれましたが……
高知にはさまざまな種類のすしがあり、独自のすし文化が根づいています。なかでも魚の姿ずしは重要で、鯖の姿ずしは「おきゃく(宴会)」で出す皿鉢料理に欠かせません。頭の先から尾までぎっしりとすし飯を詰め、頭と尾はピンと立てる。姿ずしは威勢よく盛りつけるのが土佐流儀。脂ののった冬のゴマサバに、たっぷりの……
豊後水道《ぶんごすいどう》、米水津《よのうづ》港でとれた小あじ(ぜんご)と赤じそを使った色鮮やかな姿ずしです。 米水津は起伏に富んだリアス式海岸の沿岸漁業がさかんな地域。家と海の距離も近く、家の前の岸壁からあじを釣ることができるほどです。昔は、祭りや運動会などの行事、来客がある度に、親戚の漁師や……
山口との県境にある大竹市で、冠婚葬祭や日常の食事として昔から親しまれてきた混ぜご飯です。「もぶる」は「混ぜる」の方言で、白めしに旬の野菜や魚介を混ぜこみます。まめまめしく元気にと入れる黒豆の甘煮の甘味やなめらかな舌ざわりが混ぜご飯にマッチし、絶妙なおいしさです。 家建て(建前)や結婚式などお祝い……