防除のアイデア

防除の工夫

あっちの話こっちの話

 農文協の普及職員がむらで聞いたいろいろな工夫は、月刊『現代農業』の常設コーナー「あっちの話・こっちの話」に掲載されて好評ですが、ここでは、防除に関して反響の多かった記事を2~3話ピックアップしてお届けします。

■ナメクジをビールの落とし穴で捕まえる

 秋田市四ツ小屋地区の榎〈えのき〉ヨシ子さんに、ナメクジ退治のいい方法を聞きました。まずアイスクリームのカップなど、高さ5~6cmの入れ物をゴルフのホール(穴)のように埋めます。その中に余ったビールを3cmほど入れるだけ。
 虫がとくに発生しやすい7月頃、畑の数カ所に仕掛けておくと、一晩でナメクジ、カタツムリはもちろんネキリムシまでどんどんその穴に入ってくるそうです。普通は、ビールを小皿に入れて地上に置くことが多いですが、仕掛け方のちょっとした工夫で、効果が上がるんですね。
秋田県秋田市より・石川啓道(『現代農業』2003年7月号)

■ネギのスリップスを竹酢で抑える!

 塩田町で年4作、ハウスのコネギをつくっている原博さんは、病害虫防除に自分で焼いてつくった竹酢を使っています。
 竹酢20?に対してドクダミ4kg、ニンニク4kg、トウガラシ2kgを漬け、それを約500倍に薄めて散布。ニンニクは害虫の忌避効果、ドクダミは殺菌効果、トウガラシはその両方の効果があるのではないかとのこと。
 竹酢だけをかけることもありますが、農薬と混ぜてかけても効果があります。スリップスの防除薬も、2回に1回は普通の半分の濃度で、しかもかなり安い薬を使っているのですが、被害が問題になることはありません。薬代は大幅減。
 コツは5月いっぱいは7~10日に一度、害虫が増える6月以降は5日に一度と、季節に合わせて散布頻度を変えること。
 さらに、竹酢には生育促進効果もあるそうで、ふつうは60日で出荷するはずのネギが、50日目くらいから出せるようになるそうです。でも、徒長というわけではなく、むしろ体は硬くなります。さらに、軟弱徒長しそうなときは、1000倍の穀物酢も加えて散布すると、より徒長しにくいのだそうです。
佐賀県塩田町より・小河健太郎(『現代農業』2003年6月号)

■害虫退治にはカマキリが一番! 5坪の畑に1匹いればコワイモノなし

 清和村の古賀綱行さん。このお名前に聞き覚えのある方は多いのではないでしょうか。小さい目をキラキラさせながら話す姿は、とても70歳とは思えません。古賀さんの名著『野菜の自然流栽培』は韓国でも評判になっているとか。この古賀さんに最近うかがった,とっておきの話を一つ。
 なんでも、害虫退治にはカマキリが一番とのこと。5坪の畑に、カマキリが1匹いれば十分。古賀さんのスゴイところは、春先に山へ入って、わざわざカマキリの卵を取ってくるところです。
 卵一つで300~500匹の子カマキリがかえります。しかし、そのうち生き残るのは、わずかに2~3匹とか(自然界の生存競争はキビシーイ!)このカマキリ様が畑にドンと居座ってくれれば、コワイモノなし。これで害虫退治は完璧とのこと。
 世のお子様たち、カマキリをいたぶったり、もて遊んではいけませんぞ。
熊本県清和村より・近重優(『現代農業』1993年4月号)