防除のアイデア

病害虫対策

今月のアイデア:斑点米カメムシ

◎このコーナーでは、『現代農業』や『農業技術大系』の記事から季節にあわせた記事を紹介します。今月は斑点米カメムシです。

<各種の耕種的防除法>

  • 「香りの畦みち」で無農薬でも1等米(『現代農業』2000年6月号)→記事全文へ
     詳しくは『農業技術大系作物編』第8巻(水田の多面的利用)の「ミントの畦で香りただよう田んぼには千客万来 -減農薬・無農薬栽培の米も大豆も売れていく- 北海道美唄市・元氣招会+峰延農協」をお読みください。
  • 厄介なイネクロカメムシ防除にアイガモ君大活躍(2000年6月号)
  • カメムシは木酢の乳熟期散布で絶対防げる(2000年9月号)

<薬剤防除の工夫>

  • 釣り竿利用の防除ホース(2003年6月号)
  • イネのカメムシには「7割は水田の外周部にいる」「額縁防除で全面防除と同じ効果」「出穂3週間前と出穂期の2回草刈りが効果的」(2003年6月号)→記事全文へ

<斑点米カメムシ対策の基礎知識>

  • カメムシ類「キスマークから原因種がわかる」(1997年9月号)
  • カメムシは水辺のイネ科雑草で調べる(1998年6月号)
  • 田んぼには天敵カメムシもいる(2000年6月号)→記事全文へ

<斑点米カメムシを含む害虫の総合防除>『防除総覧・イネ』から

▼東北(太平洋側)では…

  • 畦畔の除草はカメムシ類の増殖源を減らすので重要である。とくにイネ科雑草は結実する前に刈り取っておく。ただし、イネの出穂期直前の刈取りは、逆にカメムシ類を水田内に追い込むことになるので、イネの出穂10日以上前に済ませる。
  • 刈り分けは、移動性の小さいオオトゲシラホシカメムシやコバネヒョウタンナガカメムシなどの斑点米カメムシ類対策として有効である。被害の発生しやすい畦畔沿い数うねは刈り分けて飯米とし、出荷用の米への斑点米混入を防ぐとよい。

▼関東(早期栽培、早植栽培、普通栽培)では…

  • 周辺の植生管理は、斑点米被害対策で重要である。イネ科植物の単一な畦畔管理は斑点米カメムシの生息場所として好適である。畦畔にカキドウシやハッカなどのシソ科、コスモスなどのキク科、リュウノヒゲなどのユリ科などの植物を植栽すると、イネ科植物に依存する斑点米カメムシ類の畦畔での生息と増殖が困難になるために、斑点米の発生を抑制することができる。
  • 関東ではクモヘリカメムシとアカヒゲホソミドリカスミカメの被害が多く、クモヘリカメムシは山間山沿い地域で、アカヒゲホソミドリカスミカメは平坦部の大河川周辺で多い。防除の目安は、クモヘリカメムシは出穂期の畦畔沿い20回振りすくい取りで2個体以上、アカヒゲホソミドリカスミカメは同時期の水田内すくい取りで5個体以上の場合は薬剤防除。
  • 斑点米カメムシ類の被害が問題になっている地域では、出穂15日前~糊熟期までの期間は周辺雑草防除を行なわない。このカメムシ類は、通常はイネ科雑草に依存して生活しているため、出穂前後に雑草防除を行なうと、カメムシは餌を求めて水田に移動して籾を加害する。出穂期前後以外の除草作業は、カメムシの密度低下に有効である。

▼山陽では…

  • 斑点米カメムシ類に対しては、現在のところ省力的な薬剤防除が行なえない。山間棚田や畦畔などのメヒシバなどのイネ科雑草の繁茂地、イタリアンライグラスなどのイネ科草地、休耕田、耕作放棄田などに近い水田では斑点米の被害が出やすく、特に出穂のより早いイネで被害が多くみられるので注意する。広島県では薬剤防除について、アカスジカスミカメ、アカヒゲホソミドリカスミカメなどのカスミカメムシ科に対しては出穂期~10日後に1~2回、シラホシカメムシ、ホソハリカメムシ、クモヘリカメムシなどに対しては出穂7~14日後に1~2回行なうことを勧めている(『広島県病害虫防除基準』による)。