今月のテーマ(1)施肥で病気を減らす
蓬臺《ほうだい》雅吾さん
福広さんのトマト
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■苦土と石灰で、トマトの葉カビ、灰色カビが消えた!
和歌山県の蓬臺《ほうだい》雅吾さん(59歳)は、堆肥の肥料成分を施肥量計算に入れるようにして、そこに足りない苦土と石灰を効かせるようにしたら、それまで苦しめられていたトマトの葉カビ病と灰色カビ病が見事に減った。手入れは変わらないのに苦土と石灰でコロッと変わった。平成13年の春作から施肥改善に取り組み、反収は冬作も入れて年間12tから15tへ2割増収したという。(『現代農業』2003年1月号)
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■床土にも苦土!で無農薬トマト
三重県の福広さんのトマトは無農薬である。それもちょっと筋金入りの無農薬。
収量も、最近は7~8段とって7~8t(10a1800本植え)。昨年はそんな栽培方法でも最後まで葉が青々としたまま収穫を終えることが初めてできた。今年はますます安定してきている。そんな福広さんの無農薬トマトのヒミツは「苦土」にある。(『現代農業』2003年3月号より)
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■すぐ効く、長く効く、病気も虫も減った ―「リーワン」で硫安ボカシ
今から15年あまり前のこと。当時、岡山の他のナス産地では、連作障害が出てつくりにくくなっている畑が増えているようでした。私自身も、いろいろな土壌改良剤を使ってみましたが、成果が出ずに苦労していました。
同じ圃場で連作しても収量を上げる方法がないか。そんな折に出会ったのが微生物資材「リーワン」です。以来、ナスの樹のできも収量も年々よくなり、つくりやすくなってきていると思います。連作による青枯れやその他の病気もほとんどありません。最近では、ミナミキイロアザミウマの被害も少なくなったと感じています。(岡山県・金出地宏通さん『現代農業』1996年10月号より)
■ケイ酸による病害抵抗性誘導のメカニズム
14~15世紀、錬金術師が活躍した時代、トクサの水抽出液を作物の立枯病やうどんこ病のような病気に対して散布する農法があり、その抽出液の作成法が有機農業の図書に紹介されているそうだ。トクサは乾物当たり15%以上もケイ素を含む高ケイ素含有植物のひとつである。トクサを水の中ですりつぶすと、その抽出液はケイ酸ナトリウムを含んでいることが、水溶性ケイ素を市販している業者によって確認されている。
ヨーロッパではケイ酸カリウム(あるいはメタケイ酸塩)が施設園芸用に市販されている。推奨濃度はバラでは1.7~2.0mM(二酸化ケイ素で約100ppm)、キュウリでは0.75~1.0mM(二酸化ケイ素で約50ppm)である。ベランジェらの実験によると、うどんこ病やピシウム菌による根腐病に対する最適濃度は、いずれの病原菌に対しても100ppmである。
筆者らも水耕栽培で二酸化ケイ素濃度で25~100ppmをケイ酸カリウムで与えたイチゴがうどんこ病抵抗性を示すこと、また、イネの通常の育苗培土においても箱当たり200gのシリカゲル施用が苗いもちに対して効果が高いが、ケイ酸カリウムでは二酸化ケイ素として6g程度の施用でも顕著に苗いもちの発病を抑制することを確認している。
(「無機元素による全身獲得抵抗性誘導」渡辺和彦ほか、『農業技術大系土壌施肥編』より)
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その他、施肥で病気を減らす技術に関しての記事として『農業技術大系・土壌施肥編』には次のような記事があります。
- 菌根菌(根圏微生物)VA菌根による病害抑制
- キチナーゼと土壌病害の防除
- キチン・キトサンによる抵抗性向上(以上第1巻)
- 耐病性のしくみと栄養生理 窒素代謝と耐病性
- Ca栄養条件と病害抵抗性-トマト青枯病を例に
- 作物の栄養と生育 無機元素による全身獲得抵抗性誘導(以上第2巻)
- 米ぬか散布による灰色かび病発病抑制メカニズムの考察 (第5-1巻)
- 窒素施肥と野菜の病害 (第6-1巻)
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