第3巻 肉牛


カラー

カラー口絵

基礎編

肉牛生産の現状と課題

和牛生産の歴史,現状と課題

和牛の育種経過,現状と方向

わが国の肉用牛飼育の変遷と特徴

肉牛の持続可能な生産システムと環境負荷の低減

今後の肉用牛生産の方向

牛の起源と特性

I 牛の起源と家畜化

II 分類と類縁関係

III 家畜としての特性

肉牛の生理

肉牛の一生と発育

栄養消化生理

繁殖生理

産肉生理

脂肪交雑の生理

環境生理と放牧生態

品種と改良

I 肉用牛の品種,系統の変遷

II 肉用牛の品種とその特徴

III 肉用牛の見方と改良

但馬牛の血統構成と近交による肉用形質への影響

黒毛和種の育種改良と選抜方法

黒毛和種の遺伝的多様性の評価と維持・回復のための方策

飼養標準とその使い方

日本飼養標準肉用牛2008年版改訂の要点

肉質・格付規格

I 肉質とはなにか

II 肉質に影響する要因

III 枝肉の質

IV 取引の現状

牛肉の品質と生産環境

放牧牛肉の化学成分の特徴

牛肉の販売戦略

オレイン酸による牛肉の評価と長野県独自の規格基準設定

肉用牛「放牧畜産基準認証制度」

牛肉のおいしさ評価と健康価値

牛肉のおいしさ評価・健康価値とアピール技術

 牛肉のおいしさの特徴と評価技術

 理化学特性と官能特性

 牛肉の脂質と食味

 「小ザシ」の画像解析と評価

 牛肉の香りとその成分

 牛肉の熟成と肉質への影響

 牛肉のかたさ(食感)とその測定方法

 牛肉の機能性成分とその活用

 牛肉の変色,放牧の影響

 牛肉の脂肪酸組成が食味に及ぼす影響

 牛肉の外観,理化学特性が官能評価に及ぼす影響

基本技術編

肉牛の系統と飼育をめぐって

黒毛和種の代表系統とその特性

 肉用牛産肉能力平準化促進事業による優良種雄牛の作出—(一社)家畜改良事業団

 北海道(黒毛和種の代表系統)

 青森県(黒毛和種の代表系統)

 岩手県(黒毛和種の代表系統)

 宮城県(黒毛和種の代表系統)

 秋田県(黒毛和種の代表系統)

 福島県(黒毛和種の代表系統)

 岐阜県(黒毛和種の代表系統)

 兵庫県(黒毛和種の代表系統)

 鳥取県(黒毛和種の代表系統)

 島根県(黒毛和種の代表系統)

 岡山県(黒毛和種の代表系統)

 広島県(黒毛和種の代表系統)

 山口県(黒毛和種の代表系統)

 佐賀県(黒毛和種の代表系統)

 長崎県(黒毛和種の代表系統)

 大分県(黒毛和種の代表系統)

 宮崎県(黒毛和種の代表系統)

 鹿児島県(黒毛和種の代表系統)

 沖縄県(黒毛和種の代表系統)

褐毛和種

 熊本県(褐毛和種の代表系統)

 サンドイッチ型交配による牛群改良

 和牛の近交係数をめぐる課題と提言−近交係数早見表「コーハイ君」の開発

飼育管理

アニマルウェルフェアに基づく飼育管理の評価と改善

牛のハンドリング(行動制御)とそのポイント

微量元素の給与不足と飼育成績の制限

育成

育成期の考え方と現状の問題点

哺乳期の飼養管理と下痢対策

黒毛和種子牛の放牧育成による繁殖・肥育コストの低減効果

黒毛和種子牛の粗飼料多給と哺乳期間延長

II 哺育

 初乳

 泌乳量と子牛の発育

 別飼いの意味と方法

 子牛の下痢対策

III 繁殖牛の育成

 育成期の飼養

IV 肥育素牛の育成

 肥育素牛の育成目標

 育成期の飼料とその後の発育

 去勢と除角

 販売月齢適期と出荷前の調整飼育

 集約放牧を組み入れた乳用種肉生産

育成期の管理技術

 学習訓練と省力管理の考え方

 分娩から12か月齢までの学習訓練

 12か月齢からの管理と学習訓練

 調教

 長距離輸送する黒毛和種育成牛へのコリン補給の影響

繁殖牛

繁殖雌牛(母牛)の周産期飼養管理とその効果

I 繁殖牛の栄養と飼料

 繁殖サイクルと栄養サイクル

 分娩前後の栄養水準と母牛の体重,胎児の発育

 分娩前後の栄養水準と泌乳量

II 繁殖素牛の導入

 繁殖牛の選び方

III 発情と種付け

 栄養水準と繁殖能力

 子宮環境と受胎

 発情の発見と種付け

IV 分娩前後の管理

 妊娠期間と分娩日の判定

 冬の分娩と夏の分娩

 分娩準備と看護

V 繁殖牛の放牧飼育

 放牧と牛の発育

 夏山冬里方式

 輪換放牧

 集約放牧

 野シバ草地放牧の技術

 クヌギ林内放牧の技術

 棚田放牧での畔崩壊対策と留意点

 アブ防除用ボックストラップ

 レンタカウ方式による地域景観美化技術

 音楽による牛群誘導と放牧牛管理用軽トラック

 放牧牛のための携帯用飼料の開発

 寒冷紗を用いたひ陰舎による暑熱対策

 耕作放棄地での肉用牛放牧,ムギ類による放牧期間の延長

VI 繁殖牛の日常管理

 日常管理と牛のコントロール技術

 頭絡などロープ結びと枠場

 上部可動式繋留法による除糞作業効率と快適性の向上

 蹄の管理

 運動,日光浴と牛体の手入れ

 季節による管理の要点

 地域的な繁殖牛管理システムのすすめ

肥育牛

I 肥育技術の基礎

 飼料効率と肉質

 月齢と枝肉構成の変化

 去勢牛と雌牛のちがい

 食いどまり現象

 仕上がりの判定法

 厚脂について

 シコリの発生実態と原因・対策

II 肥育素牛の導入

 資質ラインと体積ライン

 月齢と発育

 体型と資質

III 肥育牛の飼料と使い方

 不断給与と制限給与

 粗飼料と濃厚飼料の組合わせ

 食い込ませるくふう

 自家配合のつくり方

 単味飼料の特徴と使い方

 肉質・脂肪交雑とビタミンA給与

 ビタミンAコントロールによる肥育技術

 バイパス油脂(脂肪酸カルシウム)給与による発育促進

 牛肉の変色抑制技術

 乾燥サツマイモを主体にした飼料給与

 褐毛和種の乾燥豆乳かすおよび飼料イネサイレージを用いた高品質牛肉生産

IV 去勢牛肥育の技術体系

 濃厚飼料多給型

 黒毛和種去勢牛の早期肥育技術

V 雌牛肥育の技術体系

 理想肥育

 若齢肥育

各品種での飼育技術

日本短角種の飼育

褐毛和種(熊本系)の飼育

草資源を活かす—放牧・粗飼料多給型肥育

周年放牧肥育技術

日本短角種の活用

日本短角種の成立,歴史と現代的意義

2シーズン放牧による低コスト飼育

採草地を活かした冬季放牧

日本短角種を借腹とする黒毛和種胚移植子牛の繁殖と育成(親子放牧)

林内放牧の必要面積と林床条件

地域未利用資源の飼料利用と放牧仕上げ

岩手県での日本短角種改良の取組み

飼料用トウモロコシを用いた肥育技術

岩手県岩泉町での経営展開と牧野管理

秋田県における日本短角種の供給力の回復傾向とその要因—かづの牛の事例

日本短角種もも肉の利用を促進するための加工技術

小規模移動放牧

小規模移動放牧の背景と意義

小規模移動放牧の立地条件と草地化

 小規模移動放牧対象地の草地化の考え方

 寒地型牧草による草地化

 暖地型牧草による草地化

 1年生牧草による草地化

 水田裏作を利用した繁殖牛の周年放牧

小規模移動放牧に適した家畜の種類と管理

黒毛和種経産牛の放牧仕上げ肥育

小規模移動放牧に必要な装備と工夫

 冬期放牧用不凍結給水設備

 牛の脱柵の行動パターンとその防止心理作戦

 咀嚼センサーを利用した転牧時期の把握

放牧前の馴致技術

 馴致された放牧牛の生産(親牛・子牛の学習)

 小規模移動放牧での放牧馴致

周年親子放牧

周年親子放牧の特徴

周年親子放牧の基本技術

 営農計画

 牧場開設

 家畜放牧

 草地管理

周年親子放牧支援のための新技術

実際家の技術と経営

繁殖経営

繁殖経営 繁殖牛7頭,裏山放牧○定年帰農による裏山放牧の導入 ○足場パイプとコンパネによる手づくり牛舎で初期投資減 ○地域の裏山が美しく変貌し収入も確保群馬県富岡市 茂木正雄
繁殖経営=繁殖牛75頭○牛に合わせたえさと環境で1年1産を継続 ○オリジナル配合飼料の年間給与で蛋白不足を防ぐ ○立派な体格でも繁殖障害ゼロ岐阜県恵那市 中根まき子(62歳)
繁殖経営=繁殖牛39頭○高蛋白飼料による,肥育で伸びる子牛の育成 ○納豆菌・乳酸菌・酵母菌活用で子牛の下痢を抑制 ○母牛への高蛋白飼料給与,良質な母乳で哺育岡山県真庭市 内田広志(61歳)
繁殖経営 繁殖牛10頭,林間放牧○林地の下草管理に生かす畜産+林業+稲作の複合経営 ○畜糞で肥えた林地で特用林産物生産 ○「牛が管理する公園」として都市民との交流の場に山口県防府市 山本喜行
繁殖経営=繁殖牛80頭,土着未利用資源を利用した放牧◯離島という地域の特性を活かした省力多頭経営 ◯「自分型経営」による子牛の低コスト生産の実現 ◯牛のいない島,未利用の土地からのスタート鹿児島県三島村 みしま農産(有) 日高郷士(66歳)

肥育経営

肥育経営 F1(交雑牛)雌80頭・牛肉をレストラン販売○F1牛でサシ3をねらった大衆肉生産 ○ビールかす中心の自家配発酵飼料で低コスト ○レストラン+ペンションで自家産牛を売る埼玉県小鹿野町 坂本正男
肥育経営 肥育牛30頭○乳用牛を一腹搾りで肥育 ○精肉を自ら販売・肉質を吟味 ○低コストで肉質向上をねらうビ−ルかす中心の自家配飼料神奈川県伊勢原市 柏木清(54歳)
肥育経営=肥育牛310頭(黒毛和種雌牛)・精肉店と牧場を直結し,消費者が求める牛肉を販売○牧場直売で消費者に喜ばれる牛肉を販売 ○黒毛和種雌牛の素牛導入と肥育 ○精肉店と牧場での着実な経営継承と発展徳島県阿南市 延隆久(45歳)

一貫経営

一貫経営 アンガス繁殖牛500頭+導入F1○日本最北端でのアンガス種による放牧飼育 ○完全なトレーサビリティと情報公開による銘柄(ブランド)化 ○地域・消費者とのコミュニケーション重視で体験・加工も展開北海道 宗谷岬肉牛牧場
一貫経営 繁殖牛60頭・肥育牛50頭・日本短角種○自給粗飼料による短角牛の繁殖肥育一貫生産 ○共同購入団体「大地を守る会」との産直提携 ○評価購買により子牛価格と地域畜産の安定化岩手県九戸郡山形村 平庭牧場(小笠原淳)(39歳)

産地・地域での取組み

強固な指導・支援体制によって,軽種馬産地に黒毛和種の新しい産地をつくる北海道新ひだか町静内和牛生産改良組合
黒毛和種受託肥育と診療・指導など事業の一元化による和牛の生産振興と中山間地域の活性化朝日村畜産センター(岐阜県大野郡朝日村)
里地里山放牧島根県大田市「小山地区放牧の会」
山口式レンタカウ方式定年帰農者・畜産農家・耕種農家が連携して収入と景観保全を同時実現山口県柳井市
褐毛和種の一貫生産草資源を活かした褐毛和牛肥育による高品質生産と赤身肉の産直に活路をひらく熊本県産山村「上田尻牧野組合」
広域放牧平場と山の畜産農家が提携した熊本型放牧熊本県「菊池・阿蘇広域放牧利用組合」
おおいた型放牧大学との連携とレンタカウによる荒廃農地放牧を通じた新規畜産農家の育成 大分県豊後高田市「西高の農地を守る放牧の会」
森を育て牛を育てる村あげての「林畜複合システム」宮崎県諸塚村