月刊 現代農業 > 「現代農業」用語集

基本の用語

名人になる!(めいじんになる!)

『現代農業』巻頭特集などのタイトルとして多用されている言葉。初出は二〇〇五年五月号「草刈り・草取り 名人になる!」だったが、以後「耕耘・代かき 名人になる!」(〇六年五月号)、「田植え名人になる!」(〇七年五月号)、「直売所名人になる!」(同年九月号)などと続いた。以降もいろいろな場面で使われたが、........

直売所名人(ちょくばいじょめいじん)

初めて「直売所名人になる!」の特集をした二〇〇七年九月号では、以下のように定義している。
「最近は直売所どうしの競合、農家どうしの競合で、ものが売れなくなってきたというが、本当だろうか。値下げを競うのではなく品目を広げる、販路を広げる。地元のお客さんが地元でつくられたものを、よりいっそう........

直売所農法(ちょくばいじょのうほう)

直売所出荷に適応するために生まれた自在で多様な栽培技術。常識を覆す裏ワザが次々出てきて、とどまるところをしらない。
大量流通・遠距離流通を目的とする市場出荷では、形や大きさが揃って規格に合っていることが何より大事にされてきた。ところが直売所では見かけよりも味や日持ちが重視される。必ずし........

小力技術(しょうりょくぎじゅつ)

「省力」と書くのが日本語としては正しいのだろうが、『現代農業』ではあえて「小力」と使うことが多い。小力技術とは、「『自然力』を活用することで、人は『小さい』力しか使わずにすむようになる技術」である。
この言葉を初めて『現代農業』誌上で使ったのは群馬県のキュウリ農家・松本勝一さん。松本さん........

不耕起・半不耕起(ふこうき・はんふこうき)

本誌に不耕起栽培が頻繁に登場するようになった当初(二〇年ほど前)は、水田での事例が先行した。トラクタでの耕起・代かき作業が不要という手間減らし効果や、土中に前年までの根穴構造が残ることで、根圏が酸化的に保たれるなどの利点が注目された。また、耕していない土を根が突き破っていくことで稲体内に生じる植物........

土ごと発酵(つちごとはっこう)

たとえば残渣や緑肥などの未熟な有機物を土の表面におき、米ヌカをふって浅く土と混ぜてみると、それだけのことで、土はいつの間にか団粒化が進み、畑の排水がよくなっていく。田んぼでも、米ヌカ除草しただけなのに、表面からトロトロ層が形成されていく。 これは、表層施用した有機物が微生物によって分解されただけ........

土着菌・土着微生物(どちゃくきん・どちゃくびせいぶつ)

世の中は菌であふれている。身のまわりの自然 山林や竹林、田んぼなどから菌はいくらでも採取できる。たとえば林の落ち葉やササをどかすと真っ白な菌糸のかたまり(これを「ハンペン」とよぶ)が採取できるので、これをボカシ肥などのタネ菌として利用する。かつて、さまざまな市販微生物資材が一世を風靡した時代があ........

海のミネラル(うみのみねらる)

海水、自然塩、にがり、海藻、貝殻、海のゴミ……。これら海水や海水由来のミネラル(鉱物元素)を農業利用する取り組みが農家のあいだで広まっている。海水には、地球上に存在する元素のほとんど(一説によると約九〇種類)が含まれる。ナトリウム・マグネシウム・カルシウムなどは海水に比較的多いミネラルだが、そのほか........

えひめAI(えひめあい)

材料は納豆・ヨーグルト・イースト・砂糖・水と、すべて食品。誰でも簡単に手づくりできて不思議な効果がある発酵液(パワー菌液)だと、全国でブームを巻き起こしている。暮らしの中では、台所の汚れ落とし、トイレや生ゴミの消臭、河川や湖沼の水質浄化などに使う人が多い。頑固な換気扇の油汚れがピカピカになったり、........

納豆防除(なっとうぼうじょ)

納豆に水を加え、ミキサーなどで攪拌したどろどろの液体(納豆水)を、希釈して作物にかけると、さまざまな病気の発生や進行を抑える効果がある。愛知県の小久保恭洋さんがキクの白サビ病で試験を繰り返して効果をつきとめると、その後花農家を中心に各地で広がり、カーネーションの斑点病や、トマトの葉カビ病、キュウリ........

パワー菌液(ぱわーきんえき)

ボカシが固形の発酵肥料だとすると、液体の発酵肥料が「菌液」。光合成細菌液・えひめAI・納豆菌液・酵母菌液・乳酸菌液など、いろいろ強力な手づくり菌液が登場してきたので、これらを『現代農業』では「パワー菌液」と総称することにした。
液の中では微生物がたくさん殖えて、菌が生み出した代謝産物や酵........

石灰防除(せっかいぼうじょ)

安くて身近な石灰(カルシウム)を、積極的に効かせて病気に強くする防除法。石灰は肥料であり、農薬でないのに極めて病気によく効いて「究極の防除法」との呼び声も高い。適用農薬が少ないマイナー品目でも気軽に使えて重宝する。
石灰の難点は、施用すると土中の炭酸イオンと強く結びついて作物が吸収しに........

米ヌカ防除(こめぬかぼうじょ)

通路や作物などに米ヌカをふって病気や害虫を防除すること。米ヌカは肥料としてでなくカビを殖やすためにまくので、量は少しでよい。まいた米ヌカにいろんな色のカビが生え、結果として灰色カビ病などの病気が減る。
米ヌカ防除は、水和剤などの農薬散布と違って湿度を高めることがない。耐性菌もつかず、雨........

酢防除(すぼうじょ)

食酢や木酢液、モミ酢などで防除すること。酢にはそれだけで殺菌作用のあることが知られているが、酢がもつ作物体内の代謝をすすめる働きを利用して、作物そのものを病害虫にかかりにくい体質にすることを「酢防除」と呼んでいる。
チッソ(硝酸)が過剰にたまった作物が病気にかかりやすいことは農家の実感........

自然農薬(しぜんのうやく)

化学合成した農薬ではなく、自然素材から農家が工夫して作り出した農薬を「自然農薬」という言葉でよんできた。身のまわりには、ちょっと工夫すれば何らかの効用を引き出せる自然のものがたくさんある。トウガラシやニンニクはその代表。ヨモギ・ドクダミ・ハーブ類・ニーム・ショウガ・クマザサ・スギ・ヒノキ・マツ・シ........

自家採種(じかさいしゅ)

固定した品種(固定種)であるイネや野菜からは自分でタネが採れる。ただ、イネは一つの花(モミ)のなかで受精する(自家受精作物)ので比較的簡単に自家採種できるが、野菜には、アブラナ科のように一つの株の花のなかでは受精できないため、複数の株をいっしょに開花させてタネ採りしなければならない作物(他家受精作........

堆肥栽培(たいひさいばい)

堆肥に含まれる肥料成分を計算して施用量を決め、不足成分を化成肥料などで補う栽培を、あえて「堆肥栽培」とよぶことにした。
昔は堆肥といえばイナワラなどが主体で、肥料成分を考える必要がない「土壌改良材」の位置づけでよかったが、近年は家畜糞などが主な材料となることが多く、肥料分リッチな存在に........

浅植え(あさうえ)

作物は、深く植えるより浅く植えたほうが根張りがよくなると見る農家が多い。野菜のセル苗やポット苗の移植では、根鉢の三分の一とか二分の一が地面から飛び出すくらいの浅植えにしたほうが、根鉢の底から新根が伸び出して活着するのが早く、根が深く張る。逆に深植えすると、根鉢よりも茎から出る不定根が優先して浅い根........

月のリズム・旧暦(つきのりずむ・きゅうれき)

旧暦(太陰太陽暦)の一日は新月、十五日は満月にあたる。旧暦の「ひと月」は、文字どおり月が地球を一周するサイクルで、平均して二九・五日。そのため一年が一二カ月では太陽暦との誤差が生じるので、一年が一三カ月になる「閏月」を約三年に一度挿入して調整する。また、旧暦の月名を決める際には、太陽の節目である二........

冷春・激夏(れいしゅん・げきなつ)

春先は超低温で来る日も来る日も多雨。夏から秋は記録的猛暑。二〇一〇年のあきれるほどの異常気象に、『現代農業』では思わず「冷春」「激夏」と命名した。
被害は甚大だった。茶は春先、凍霜害にやられたというのに、イネは夏の高温障害で白未熟粒が大発生して「一等米は珍しい」という状況。野菜も果樹も........