改正JAS法によって定められた「有機」表示。ここでは有機質肥料、家畜糞尿などの有機質資材、実践農家の取り組みを紹介します
有機質肥料を生かす
化学肥料との違い、肥料成分はもちろん、肥効の現われ方、微生物との相性などをじっくりと展開
『土壌施肥編』第7-(2)巻。肥料成分からしか見てこなかった有機質肥料を、アミノ酸組成と土壌微生物の繁殖パターンから解析。
『土壌施肥編』第3巻。有機質肥料は団粒形成を促進し、養分の移動がスムーズになる。緻密な追跡は貴重!
家畜糞尿を生かす
農業三法によって、家畜糞尿の有効利用が求められている今、有効に利用するための情報を満載
『土壌施肥編』第6-(1)巻。最近の糞尿は肥料分豊富に。含有成分と肥効特性を明らかにし、作物の吸収特性から組み合わせを考える基礎知見。
『土壌施肥編』第6-(2)巻。コストダウンに向けて、花卉の床土に家畜糞を生かす技。
『土壌施肥編』第6-(1)巻。ここではダイコンの例を紹介。「野菜・種類別施肥技術」コーナーには他にもさまざまな環境保全型施肥技術を掲載。
『畜産編』第8巻。家畜糞のペレット製造装置と使用法紹介。
未利用有機質残渣を生かす
地域から出る食品残渣などを生かすことで、地域環境を守る農業を
『土壌施肥編』第6-(1)巻。乾燥おからなど有機資材ブレンドによる育苗法公開。
『土壌施肥編』第6-(1)巻。倒れやすいコシヒカリを有機質だけで栽培。
『果樹編』第1-Ⅱ巻。長野県・原今朝生さんらの実践例。仲間10人で処理業者資格も取得。
『畜産編』第4巻。腐敗しやすいおからをサイレージに生かす技術指針。豚への利用。
有機栽培実践農家事例
個性的な無農薬栽培農家を選んでみました。取り上げた以外にも膨大な事例を収録しています。
『土壌施肥編』第8巻。群馬県・佐藤勝美さん。樹皮+鶏糞+稲わら+土手草で低窒素堆肥
『土壌施肥編』第8巻。茨城県・松沼憲治さん。籾酢+天恵緑汁+カルシウムを全期間散布。
『土壌施肥編』第8巻。熊本県・後藤清人さん。歳をとってもできる、半不耕起による田に入らずにすむ自然農法。
『野菜編』第4巻。青森県・坂本清衛さん。アルギット資材を生かして低地温を克服。反収4t。
『土壌施肥編』第8巻。長野県。飯塚芳幸さん。かわら暗渠と長期熟成堆肥で。
『土壌施肥編』第8巻。兵庫県・大屋町おおや高原有機野菜生産部会。地域資源カニ殻を利用した地域実践。
『作物編』第8巻。福岡県・二丈赤米センター吉住公洋さん。地域選抜の品種を自家採種して、牛糞堆肥だけで疎植で育てる。
環境保全型農業は、土つくり、化学肥料低減、化学農薬低減、の三つの柱で構成されています。今回のガイドでは、副産物や身近な資材を利用した土つくり、耕し方や輪作による土壌保全と脱土壌消毒剤などにしぼって紹介してみました。
米ぬか利用で減化学肥料、無農薬・減農薬を目指す
玄米を白米にするときに出てくる副産物が「米ぬか」。今、この米ぬかが、肥料としてはもちろんのこと、除草に、ボカシ肥の基本資材に、そして土の中の小動物や微生物を豊かにするキー資材に。
『土肥編』第7―(1)巻。米ぬか中のN・P・K・Caの成分含量や、生産地による成分の違い。米ぬ
かボカシ肥料のつくり方例も紹介します。
『土肥編』第2―(2)巻。作物は無機態窒素だけしか吸えないのか? 稲わら+米ぬかを施用したときの土壌窒素は、アミノ態とタンパク態が多い。作物の種類による吸収窒素形態の違いを追跡。
『土肥編』第7―(2)巻。水田への米ぬか散布によって空中の浮遊するこうじ菌が繁殖して糖を生み出し、酵母菌によって、糖が大量
のアルコールに変わる。これらが殺菌、殺虫、殺草力を発揮する……と、田畑全体を発酵環境に変える論は独創的です。
『土肥編』第1巻。雑草防除対策としての、麦わら、菜種油かす、米ぬかの表面
施用技術の徹底追跡。雑草が減少する理由を、遮光、異常還元、アレロパシー、有機酸などの生育阻害物質によると解明した労作です。
『土肥編』第5―(1)巻。土壌消毒に土の還元状態を利用する方法。稲わらに米ぬかやふすまを混合施用することで、処理10日目には根腐萎凋病菌が死滅します。
『土肥編』第7―(2)。奈良県水越真澄さんの実践。イチゴ、ネギ、タマネギ、ダイコン、スイカ、ニンジンなどに、土着菌を利用した米ぬかボカシと米ぬかを中心とした施肥で良品生産。
『土肥編』第7―(2)。宮崎県のバラ農家矢野正美さんの実践。市販納豆1パックを200ccの水でとき、米ぬ
か15kgに混ぜて発酵させたのが納豆菌ボカシ。それを土壌表面に散布し、上からワラなどで被覆。
『土壌施肥編』第5-(1)巻。ハウスに米ぬかを散布するとなぜ病気が出なくなるのか? 葉上微生物の拮抗関係からの考察。
不耕起・半不耕起による土壌表面管理
土を耕さずに種をまいたり苗を移植する不耕起栽培、表面だけをごく浅く耕すだけの半不耕起栽培……耕す手間がいらないメリットは大きいが、それだけではありません。これらの技術は、より深く耕すことを“是”としてきた農法に対して、土との新しいつきあい方を提案しています。
『作物編』第2―(2)巻。レントゲン写真による、土の中の孔隙写真は圧巻。根穴が団粒構造に似た働きをすること、根自身が自らにあった構造を創り出すことを明らかにしています。
『土肥編』第1巻。硬い土に出会うと、根は長さは短くなるが太さを増し、根の先端まで根毛を発達させます。土の硬さと根の形態の変化の基礎文献。
『土肥編』第2巻。ダイズを素材に、耕起栽培と不耕起栽培での違いを追究。熱伝導率の違いなどの基本も抑えて、土の構造と生育を追います。
『土肥編』第5―(1)巻。不耕起を省力・省エネから見た損益分岐点。また、表層の生物性がきわめて豊かになり、有機物を分解する土壌酵素活性が高いことを解明しました。
『土肥編』第5―(1)。トマトとキュウリによる不作畦栽培の成果報告。根は少ないが、トマトでは条腐れ果
の発生が減り、上物率向上。キュウリでも総収量、上物収量ともにアップ。
『作物編』第2―(2)巻。プラウ耕とロータリー耕による有機物のすき込まれ方の違いと有機物の分解、還元化の進み方の違いを知る基本文献。水田土壌の酸化・還元、土層別
の変化を詳述。
輪作による土壌保全技術
伝統的な輪作技術が、作目・品種の開発や微生物環境など現代科学による解明によって、環境保全型農業の基本技術となってきました。その現代的意味や実践例を紹介することにしましょう。
土壌病害を防ぐ「ネギ・ニラ混植」
『土肥編』第1巻口絵。カラー写真で一目でわかる、ネギ・ニラ混植の土壌病害抑制効果。 (その1)

(その2)
『土肥編』第5―(1)巻。抗菌細菌による土壌病害抑制の原理と効果的な混植による防除法の実際と理論。トマトの根腐萎凋病などの土壌病害に対するやり方を紹介します。
『土肥編』第5―(1)巻。根圏の微生物に着目し、連作と輪作圃場での生物相の違いを追った労作。有機物の施用と土壌病害との関係、作物と土壌微生物との健全な関係に迫ります。
『土肥編』第5―(1)巻。話題の土着微生物の特徴と捕まえ方・ふやし方を、微生物のエサや培地条件などから解明した実践的内容です。
『土肥編』第5―(1)巻。インドの半乾燥地の重要作物、キマメ、ヒヨコマメの養分吸収(特にリン)から学んだ菌根菌を生かす知恵を、日本型輪作体系にどう生かすかを提起しています。
『土肥編』第5―(1)巻。センチュウ対抗作物など、機能性に富む緑肥が登場しています。市場に出ているほとんどの緑肥について、その効果
・栽培法を一覧できる付表は必見です。
脱臭化メチルを可能にする代替技術
2005年臭化メチル全廃の国際的取り決めによって、土壌病害回避の切り札であった臭化メチルを使わない手法の模索が始まっています。ここでは、太陽熱処理ほかいくつかの技術を紹介しましょう。
『土肥編』第5-(1)。キルバー液剤、ダゾメット、クロールピクリンなどの薬剤の上手な使い方と、太陽熱利用との組み合わせた効果
的利用。錠剤やテープなどの新しい剤型も紹介しています。
『土肥編』第5-(1)。大気中に出る臭化メチルガス量を減らすことが、薬剤施用量
を減らすことにも結びつきます。バリアー性フィルムの性能についても触れています。
『土肥編』第5-(1)。奈良で確立された消毒方法で、各地の太陽熱消毒の基本となっています。地温の上がりにくい露地や中山間の場合の手法も紹介しています。
写真で見る太陽熱消毒の効果
『土肥編』第5-(1)。写真でズバリわかる太陽熱消毒の効果。微生物の違いも明瞭にわかります。病害に侵された株もその場で堆肥にして生かせます。
『土肥編』第5-(1)。土壌消毒後に土を動かすことが土壌病害を出やすくしているため、畦をつくってから行なう方法を紹介しました。これで、効果
が出にくいハウスの谷やサイド部分も大丈夫です。
『土肥編』第5-(1)。低温の北海道で根腐萎凋病に対する方法として開発されたものです。米ぬ
かまたはふすまを土に混ぜて湛水。30℃以上の地温で土壌還元を起こして病原菌を死滅させる画期的方法です。
地下水汚染と肥料溶脱の回避技術
土壌からの肥料や畜産糞尿の溶脱による地下水汚染が問題になっています。海外での地下水規制の現状、わが国での現状、そしてどうしたら溶脱を減らすことができるのか?
『土肥編』第3巻。田畑の窒素循環の原理が図示され、地下水汚染のメカニズムや輪作など、作物の吸肥特性をベースに対策がわかります。
『土肥編』第1巻。多肥と標準施肥の野菜畑で、地下水の硝酸態窒素の濃度変化を4年間にわたって月別
に追い続けた第5図、また、堆厩肥施用時の推移を追った第6図は注目です。
『土肥編』第5-(1)巻。水質汚染と水のクラスターとの関係を軸に、微生物相の変化と作物の病気を解説したものです。水質の浄化法も独特です。
『作物編』第8巻。水田の多面的活用のガイダンス。水田利用の歴史とその意味、また水田がもつ環境に対する浄化機能を科学的に解説したもので、水田の機能を再確認できます。
『土肥編』第3巻。冬の間に、夏作で吸収されなかった肥料分は地下に流れます。窒素溶脱に果たしている冬作の意義を明らかにした最新研究成果の報告です。
『畜産編』第8巻。わが国より早く地下水の硝酸塩汚染が問題となったEU諸国の水質規制と、畜産対策を紹介。わが国の規制と比較するのに役立ちます。
地下水汚染と肥料溶脱の回避技術
『土壌施肥編』第3巻。転作田での野菜栽培の残肥が暗渠に集積して問題に。暗渠管の工夫で脱窒させて濃度を減らす工夫。
『畜産編』第8巻。家畜糞尿の有効利用、水質汚染の問題など、2000年秋から施行された法律と事業情報。
高品質生産のためにいいとわかっていても、機械力や経費がかかるものではムリ。高齢者や女性には、体力的な大変さも。そこで試したいのが、動物・小動物などの力を借りる方法、微気象をうまく生かす方法、仕立て方で作業を楽にする方法などです。ここではそんな“おすすめ”技術のいくつかを選んでみました。
動植物の力を生かして
アイガモやコイなどによる除草、ミミズによる除草や病害抑制、草生栽培による雑草管理、アレロパシー(他感作用)による雑草抑制などなど、動植物の力を借りる手法を選んでみました。
『土肥編』第1巻。ミミズを利用した病原微生物、センチュウ防除の研究成果の報告。シマミミズによる腐敗病、ヒトツモンミミズによる根こぶ病抑制など、ミミズが関わる生物防除のバイブルです。
『土肥編』第1巻。水生のイトミミズによる雑草防除の仕組みと、イトミミズのふやし方を紹介します。また、イトミミズが果
たしている水田環境への作用を科学的に解明します。
『作物編』第2-(2)巻。農家の間で行なわれている27種類の雑草抑制技術の特徴を明らかにした第1表、その組合わせによる可能性を示した第2表はとてもユニークです。
『作物編』第2-(2)巻。コイを放す時期と残存雑草、コイの大きさと残存雑草、放す時期とイネの生育・収量
の科学的追究。コイ除草に興味のある人は必見です。
『作物編』第8巻。不耕起田にコイ・フナを放流した農家の記録。イネミズゾウムシ、ドロオイムシを食べるコイやフナ、イネの茎の太さ、開帳度合いなど、新鮮な観察がいっぱいです。〈長野県・高見澤今朝雄〉
『作物編』第3巻。「合鴨水稲同時作」の提唱者が書いた実践報告。雑草量の比較、害虫ウンカの被害の違い、育すうから放飼など合鴨の活用技術を報告します。〈福岡県・古野隆雄〉
『土壌施肥編』第6-(1)巻。アイガモのエサも減らし、糞による養分補給の可能性の解析。
『作物編』第2-(2)巻。1~2cmのものが1平方mに2個以上あれば草の心配ゼロ。問題はイネも食べてしまうこと。雑草だけをどう食べさせるか、農家の取組みから明らかにした共生技術です。
『花卉編』第4巻。強いアレロパシー作用をもつ植物の基礎データとその一覧表は貴重。果
樹園の下草管理など、伝統農法も踏まえて詳述します。
『土壌施肥編』第1巻。ミミズを実際の圃場に放してその生育と収量を追跡。歴然とした差に驚きます。
微気象条件・土壌条件を生かして
溝底に播種することで、厳寒地での冬の栽培を可能にしたり、寒さに当てたり、水分を制限することで糖度を増したり……といった、お金も手間もかからない高品質生産の技を選んでみました。
『野菜編』第7巻。北国の寒い冬場に向かう作型でも、溝の底に播種することによって、夜間の地温も葉温も上昇。べたがけ被覆と溝底播種による、微気象利用栽培です。
『土肥編』第2巻。低温の時期にハウスを開放して寒さに野菜を晒すことにより、ビタミンが増加し甘味が増すことを証明したデータです。ホウレンソウとニンジンで生育と内容成分の変化を追跡します。
カラー写真で一目瞭然 溝底播種の生育の違い
『野菜編』第7巻。カラー写真による、平床播種と溝底播種の生育の違い、葉温の比較。 (その1)

(その2)
『野菜編』第7巻。秋の冷涼さと冬季の温暖さを利用してやわらかな品質のつぼみ菜栽培を実現します。
体力のハンディを克服する技術・作業の工夫
体力の衰えは工夫と智恵でカバー。楽しく農に関わり続けるための智恵を集めてみました。
『土肥編』第7巻(2)。籾がら主体の育苗培地なら、重さはわずか土の3割。軽くて運びやすく、しかも根が健全で増収に。高齢者・女性のお助け培土つくりを紹介します。
『野菜編』第3巻。腰を曲げた作業がなく、しかも培地量が少なくて軽い高設栽培が、高齢者も巻き込んで大きく伸びています。年金くらいは楽しくラクに稼ぎだす、安価でできる高設栽培を紹介します。
『作物編』第2巻イネ「基本技術」(1)。苗つくりの小力は灌水の省力。水の保温力も生かして、温度管理もラクになり病気も出にくくなる画期的技術です。
『野菜編』第5巻。トラクタ作業がしやすく、収穫・防除作業もやりやすくする広いうね間。独自の接ぎ木を取り入れて、手間のかからないうね間灌水による、自らの身体に合わせた小力技術の紹介です。〈兵庫県・山本明〉