伝え継ぐ日本の家庭料理

野菜のおかず 秋から冬

秋から冬によく食べられてきた野菜類のおかずを集めました。山菜や果菜が主役の春夏を過ぎ、根菜や葉物、木の実などが旬を迎える時季です。なかでも、大根が主役のおかずがもっとも多く、冒頭から28品続きます。塩もみに煮物、炒り煮になますと、見ていて飽きません。この時季の大根は寒さに耐えるために糖度を上げてよく太るので甘くみずみずしく、どんな食べ方にもなじむようです。甘さや旨みが増して独特の風味の干し大根も、冬の乾燥と寒さがあってこそのおいしさです。日本の大根はヨーロッパやアメリカ大陸まで分布している仲間の中でもひときわ大きく、『古事記』『日本書紀』の昔から「おおね」と呼ばれて親しまれてきました。そんな歴史を感じさせる多彩な食べ方です。  大根同様に地中で養分を蓄えるごぼうやれんこん、寒さで甘く肉厚になる葉物、次世代のために油やでんぷんが詰まった木の実などを利用して、実りに感謝し冬を越していく料理がつくられてきました。

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大根・干し大根

大根は野菜の中でもっとも作付面積が広く身近な野菜で、それだけにさまざまな食べ方があります。大きく切って煮たり、せん切りをなますにしたり、材料の組み合わせ、味つけ次第で主役にも脇役にもなります。干し大根もそれぞれ特徴を生かして使われています。

にんじん・ごぼう・れんこん

根菜は、秋が深まると根や茎にでんぷんをたくわえて、おいしくなります。ここでは大根以外で根菜がメインの料理を集めました。彩りになるにんじん、縁起もののごぼうやれんこん、しょうがやくわいも登場します。

葉物・ねぎ

葉物はほうれん草や小松菜などが一般的ですが、じつは地域ごとに大事に育てられてきた品種があり、今も食べられています。ここではそれらを使った各地のおひたしや和え物などが出てきます。そのほか、長ねぎがメインになるレシピもとりあげました。

秋冬野菜いろいろ

秋から冬にかけておいしくなる野菜をいろいろと盛りこんだ煮物を集めました。これらは冠婚葬祭や行事に欠かせないものだったり、日常的にたくさんつくって煮返して何日も食べるものだったりします。材料の切り方や盛りつけにも地域ごとの特徴がみられます。

かんぴょう・ずいき・かぼちゃ

夏にとれるかぼちゃ、ユウガオからつくるかんぴょうは季節を越えて、秋から冬にも利用されます。ふだんは脇役のかんぴょうも産地ではメインの食材になります。里芋の茎であるずいきは、生のものも干したものも使い、酢の物や煮物にして食感を楽しみます。

菊・きのこ・種実

色鮮やかでほろ苦い食用菊に、香りや食感を楽しむきのこ。ていねいにすってコクを出すくるみやごまの料理、どんぐりを挽いて粉にしてつくる料理は手間ひまかけたごちそうです。とんぶり、あけび、なつめも地域限定の秋の味です。

漬物を使って

酸っぱくなった古漬けのたくあんや白菜漬けを使った料理は複雑な旨みがあり、これが食べたくて漬物を漬けるという人もいるほどです。塩抜きする前提で漬ける新潟の体菜や、高知のある集落だけに伝わる漬物の鍋料理も紹介します。

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