伝え継ぐ日本の家庭料理

肉・豆腐・麩のおかず

肉や卵など魚介類以外の動物性たんぱく質の食品と、豆腐や麩などの植物性たんぱく質の食品を使った料理91品を取り上げました。昭和35年にほぼ2:1だった魚介類と肉・卵類の摂取比率が、45年には1:1と、急速に肉・卵の消費が増えましたが、庶民の感覚としてはまだまだ貴重品だった時代の料理です。  自宅でさばいた鶏はみんなで囲む鍋になり、豚や牛、羊や馬やくじらは地域ごとの産業や伝統と関連しながら皮や内臓も余すことなく食べられてきました。いのししや蜂の子、イナゴなど、とって食べる獣や虫の料理は、他の生命をいただいて生きる営みを改めて思い出させてくれるようです。  ゆでてかたくしめた豆腐を主役にした煮物は、ボリュームたっぷりの主菜、ごちそうです。加工品である凍り豆腐や副産物であるおからも含めて、食卓での豆腐の存在感は今よりもずっと大きいものでした。

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鶏の料理

鶏は、家庭で卵をとるために飼われていた身近な家畜でした。祝いごとや祭りなどがあるとつぶして、ごちそうとしてふるまわれたのです。肉はもちろん、内臓も卵も、骨もだしをとり、丸ごと食べつくします。大勢で食べる鍋料理から煮物、刺身まで紹介します。。

豚と牛の料理

豚の料理は、昔から豚を飼っていた沖縄や、外国の影響を受けてつくられるようになった神奈川や長崎などで多く見られます。牛を使った料理は大阪や兵庫など、西日本が中心です。もつやすじ肉の料理から肉がメインのごちそうまで紹介します。

羊と馬といのししの料理

羊は羊毛生産で飼われた北海道で、馬は農耕馬・軍用馬の産地に近いところでよく食べられ、いのししは山間部を中心に、秋冬の狩猟シーズンに食べられてきました。それぞれの肉が持つにおいやかたさなどを和らげ、おいしく食べるための料理が伝えられています。

くじらの料理

海の哺乳類であるくじらは、戦後の食糧難の時代、日本人の食生活を支えてくれた大事なたんぱく質源でした。日本には昔からくじらを頭から尻尾まで余すことなく使いつくす技があり、赤身肉から脂肪、尾びれなどを使った料理が登場します。

卵と牛乳の料理

かつて貴重品だった卵は、昭和30年代半ばから安価で身近な素材になりました。卵焼きや茶碗蒸しなどの定番の卵料理も東西で味つけや具が違うようです。そのほか、珍しい和風の牛乳料理と、動物性たんぱく質源である虫の料理も紹介します。

豆腐とおからの料理

ゆでたり煮たりしてかたくなった豆腐は食べごたえもボリュームも十分。湯豆腐や冷や奴で食べる豆腐のイメージとはかなり異なります。豆腐を加工したがんもどきや凍り豆腐なども、副産物であるおからも、煮物や和え物、すしにしてたっぷり食べてきました。

麩の料理

小麦粉のたんぱく質を抽出した麩は、精進料理の重要な食材です。地域それぞれに特色のある麩がつくられ、仏事の料理を中心に使われてきました。石川や沖縄のように、卵と組み合わせてボリュームのあるおかずに仕上げる食べ方もあります。

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