伝え継ぐ日本の家庭料理

魚のおかず いわし・さば など

いわしやさばなど大衆魚と呼ばれた魚や、ぶりやかつお、さんま、とびうおなど日本近海を回遊し各地でとれる魚です。また、多様な小魚や小えびを食べる料理、魚種を限定せずにそのときとれる魚でつくる鍋や揚げ物、すり身加工品といった食べ方も全国でみられます。そしていかとたこは、世界でも日本人がいちばん食べるといわれるほど親しまれてきました。  広島の小いわしの刺身は、何度も冷水で洗うことで身が引き締まり臭みがとれます。福井のさばのへしこは、10カ月以上もぬかに漬けて濃厚なかつお節のようなうま味と香りを生み出します。山形の夏いかのくるみ和えは、出始めの小さないかだからこそおいしい、ワタも墨も丸ごと煮る料理です。おなじみの魚にこんな食べ方があったのか、と思うかもしれません。魚離れがいわれる昨今ですが、つくってみたいと思う料理がきっとあるでしょう。

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いわし

かつては庶民的な魚の代名詞のように身近だったいわし。“ご飯の代わりに食べた”という話があるほどです。新鮮ならまず刺身で食べますが、食べ切れなければ酢や塩をしたり、米ぬかに漬けて保存したりと、たくさん手に入るからこその工夫が見られます。

あじ・さば

今も全国的に親しまれているあじやさば。一尾丸ごとを家庭でおろすのが当たり前でした。尾頭つきのあじの煮物、背開きのさばを漬けたへしこ、そぎ切りのさばのすき焼き風鍋など、日常のおかずにもなれば、ハレの日のごちそうにもなります。

ぶり・かつおなど

ぶり、かつおのほか、さわらやかじきと比較的大きな魚を取り上げます。おろしたたっぷりの身は刺身や煮魚、酢じめなどさまざまに調理して食べますが、あら、頭、心臓や卵巣など内臓だけでも一品になり、大きな魚を丸ごと食べつくします。

さんま・とびうお・にしんなど

このしろ、ままかり、えつも含めた小型から中型の魚のおかずです。ここでは、さんまは北〜東日本、とびうおは西〜南日本でつくられてきた料理が並びます。一方で身欠きにしんのように乾物として北前船で運ばれ、各地で利用されている魚もあります。

小魚・いろいろな魚

瀬戸内のいかなご、鹿児島のきびなごなどの小魚から、どっさり手に入る新鮮な魚を、魚種にこだわらず使う鍋や塩辛、揚げ物などの料理です。なかでも、はんぺん、てんぷら、かまぼこなどすり身でつくる料理は、地域や季節によっていろいろな魚が使われます。

いか・たこ

世界の中で日本人が一番食べているという、いかとたこ。生での利用は海に近い地域ですが、干したり、塩や酢で漬けたりした加工品を使った料理は内陸部も含めて全国にあります。うま味が強いので、野菜やいもと組み合わせた煮物も多いです。

えび・かに

ここで紹介するのは、輸入品や冷凍品ではなく、地元の海でとれた新鮮なえびやかにを使った料理です。かつては小えびは普段のおかずに、かにもおやつにするほど、たくさんとれていました。独特のおいしさをいかし、煮物や揚げ物などさまざまに使います。

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