防除改善 地域・農家の事例

難敵シルバーリーフコナジラミから作物を守る

■「別名:タバココナジラミ」こんなときの検索は?

体長わずか0.8mmのシルバーリフコナジラミ(ちょっと前まではタバココナジラミと呼ばれていた)が各地で猛威をふるい始めています。トマト、ナス、カボチャ、エダマメ、セルリー、ウリ類の果菜、花卉類と、被害を与える作物の幅は広く、ウイルスも媒介するためその被害は甚大です。
さて、この難防除害虫にどう立ち向かうか?
まずは、どんな害虫なのかをおさえておかないことには防除もままなりません。
「ルーラル電子図書館」で、「シルバーリーフコナジラミ」「タバココナジラミ」を「OR」検索(どちらかの語を含む)しました。
ここではその中から、いくつかの記事を見ながら、対処法をさぐってみましょう。

■まず敵を知る

多犯性の害虫なので、このコナジラミはいろいろな作物の重要な害虫として登場します。
「ウリ類 シルバーリーフコナジラミ」によれば…


<葉裏の寄生 卵、幼虫、蛹、成虫が混在(久保田)>

▽成虫は体長約0.8mm、体色は黄色で成虫の羽が白いため、上面からは頭胸部だけ黄色くみえる。
▽蛹は淡黄色~黄色で、体長は0.7~1.0mm、体幅は0.5~0.8mmで楕円形をしており、後端は細まる。
▽卵は直径約0.2mmの円筒状で、植物体上に産まれる。産卵直後は白色であるが、しだいに黄色くなり、孵化直前には褐色となる。
▽成虫はオンシツコナジラミと比較して、シルバーリーフコナジラミのほうがやや体長が小さく、体色の黄色が強い。また、翅を閉じたとき、2枚の前翅を合わせる角度が90度より小さく、オンシツコナジラミでの120度程度より急な角度で翅をすぼめるため、全体に細くみえる。2枚の前翅の重なりはオンシツコナジラミより少ない場合が多く、オンシツコナジラミでは翅の下に腹面がみえることはないが、シルバーリーフコナジラミでは両翅が重ならず、腹面が上からみえる個体が多い。

■叩き方を知る

<防除ニュース>で話題にのぼった「トマト シルバーリーフコナジラミ」の叩き方を見てみると、その内容は、大きく<防除のポイント><農薬による防除><農薬以外による防除><天敵資材の利用><害虫の生活サイクルとその変動>に分かれ、それぞれ農薬適用表を詳細な説明がされています。
農薬による防除の「防除の判断と農薬の選択」の項目(抜粋)には…

▽トマト果実の着色異常症(紅白玉)は、シルバーリーフコナジラミの幼虫が1枚の複葉に1齢から4齢まで含めて100~300匹程度寄生すると発生し始める。比較的観察しやすい3齢および4齢幼虫では1複葉当たり80匹程度で1段目果実で着色異常が発生し始める。したがって、幼虫密度に注意を払い、遅くともこの密度に達する前に防除を行なわなければならない。
▽黄色粘着トラップによるコナジラミ誘殺数は、葉での幼虫密度と密接な関係がある。成虫の誘殺状況を観察し、1トラップで1週間当たりおおむね100匹誘殺されると、着色異常果が生じると推定される。


農薬以外による防除には「防虫網」「近紫外線除去フィルム」「粘着トラップ」「圃場衛生」「近紫外線除去フィルム」「密閉蒸熱処理」「低温処理」などの項目にわたって詳細な説明があります。
たとえば…

▽近紫外線除去フィルムで施設を被覆すると、シルバーリーフコナジラミの侵入が抑制される。しかし、侵入した成虫の施設内での産卵、増殖はほとんど抑制されない。近紫外線除去フィルム被覆により、オンシツコナジラミ、アブラムシ類、アザミウマ類の飛来侵入も同時に抑制されるので、各種害虫の初期密度を抑制することが重要な育苗施設では特に有効である。

「粘着トラップ」の項目には…

▽シルバーリーフコナジラミ、オンシツコナジラミの成虫は黄色に強く誘引されるので、施設内に黄色の粘着リボンや粘着板を多数設置することにより、これらの成虫を誘殺できる。オンシツコナジラミの場合には、6m2当たり1本の粘着リボンを設置すれば防除効果があることが知られている。

<防除ニュース>の冒頭で紹介した熊本県八代地区での取組みの骨格となった対策ほか、さまざまな防除技術が紹介されています。

■「黄色蛍光灯はシルバーリーフを増やす」は本当か?

「オオタバコガとコナジラミ類」(『現代農業』2002年06月号)で、田口義広先生は、夕方から早朝までの黄色蛍光灯点灯によるオオタバコガの侵入抑制効果を評価したうえでこう書いています。

黄色蛍光灯を点灯するとシルバーリーフコナジラミが集まってくると指摘する人がいる。筆者らが知る限り、コナジラミの活動は朝九時頃から夕方五時頃までで、暗い夜間の活動は確認していない。また、そのような報告も見当たらない。
ただ、黄色蛍光灯を点灯すると、その周囲はシルバーリーフコナジラミにとって昼間と同じ状態になるのかもしれない。そのために、なんらかの原因で植物体から離脱したコナジラミが、蛍光灯の周囲に集まることは容易に想像できる。
しかし、コナジラミのような微小害虫の飛来は気象要因や周辺作物の生育との関係が深い。黄色蛍光灯の影響を確かめるには、黄色蛍光灯の直下と蛍光灯をつけていないハウスとに黄色粘着板を取り付け、一週間間隔で誘殺数を調べ比較するとよい。こうすることで黄色光の影響を明らかにすることができる。

ネット使用についての注意も…

目合い四mmのネットでは昼間のハウス内の気温の上昇は二度程度にとどまるが、目合いの小さい二mmになるとハウス内の気温が四~五度も上昇する。

シルバーリーフコナジラミの侵入を防ぐための1mm目合いのネットであれば、さらにハウス内の気温は上昇するはず。まさに、トマトの大産地八代地区で起こっている苗の軟弱徒長の事態はこうした中で発生しているのでした。