防除改善 地域・農家の事例

防除データベースからオンデマンドで資料作成

オオタバコガとヨトウムシ これならバッチリ見分けられる!

 農文協の普及職員Mが、野菜と卵を契約販売している農家、Fさんを訪問した。
「ただでさえ虫には往生しているのだが、去年の夏は暑かったからオオタバコガ、ヨトウにやられた。ヨトウに対してはB社で出している資材がテキメンに効くのだが、このふたつの虫の見分け方が分からんから、大量に発生されるともう駄目。若い頃に教わった『穴に入ってるのがヨトウで入ってないのがオオタバコガ』ぐらいの見分け方じゃ対応しきれんよな。大発生されると、硝酸態チッソ含有量もへったくれもありゃしない。全滅しちゃうから…」
 契約先は自然食品販売店なので無農薬栽培をしているだけに悩みは深刻そう。
 そこで、以前に別の農家から、同じような悩みを聞いたときにデータベースを検索し、両者の見分け方を整理して作った「オンデマンド防除資料」を見せると、「おお友よ!」一発で好感度アップ。「これはいい、友達もこれで困っているんだ…」と話がはずみ「ルーラル電子図書館」に入会決定。

 その「資料」はワープロソフトで作成したものなので、以下はそれを再編したものです。

▼こまった害虫見分け術

★ハスモンヨトウの若齢幼虫
胸部に2個の大きい黒斑があり,各関節の背に三角の黒紋がある。
(病害虫診断防除編 3巻 パセリ)
ちなみにハスモンヨトウの生まれた直後はこんな感じです。
★ヨトウガの若齢幼虫
若齢幼虫は緑色で日中も葉上にいるが、成熟すると黒褐色になり日中は地中にもぐる。
(病害虫診断防除編 3巻 パセリ)
★ハスモンヨトウ
中齢幼虫と老齢幼虫。色の変化にとむ
(病害虫診断防除編 2巻 イチゴ)
★オオタバコガの幼齢幼虫
(病害虫診断防除編 3巻 レタス)
   

▼見分け方ガイド

▽ヨトウガとハスモンヨトウはよく似ているが、ハスモンヨトウの幼虫は胸部背面前端部中央で途切れる横断線があるので区別できる。
▽ヨトウガは、一般に成虫は年2回発生し、幼虫は5~6月、9~10月にかけてみられる。
▽若齢期は集団で食害するが、その後分散し、成長した幼虫は日中になると地際部に潜むようになる。
▽ハスモンヨトウは、年に5~6世代経過する。幼虫の発生加害は、8~10月に多くみられる。
▽ハスモンヨトウの卵は葉裏に卵塊で産みつけられ,茶色の鱗粉で覆われている。暗緑色のふ化幼虫はかたまって葉裏から表皮を残して食害するので,被害葉は全体が白っぽいカスリ状になる。また,中・老齢幼虫が果実に食入することもあるが,食害痕は不整形である。(病害虫診断防除編2巻 ナス ハスモンヨトウ <診断のポイント>より)

オオタバコガは1卵ずつ点々と産卵していくのに対して、ヨトウガは卵塊として1か所にかたまって産卵する。したがって,ヨトウガによる被害は、圃場のある部分の数株に集中的に現われるのが特徴である。また、ウワバの場合は、オオタバコガと同様に1卵ずつ点々と産卵していくが、ウワバの幼虫はシャクトリムシ状に歩く。幼虫の腹脚はオオタバコガは4対あるのに対して、ウワバは2対しかない。したがってヨトウガもウワバの仲間も、いずれもオオタバコガとは区別できる。(病害虫診断防除編2巻 レタス オオタバコガ <診断のポイント>より)