防除のアイデア

防除の工夫

あっちの話こっちの話

 

 農文協の普及職員がむらで聞いたいろいろな工夫は、月刊『現代農業』の常設コーナー「あっちの話・こっちの話」に掲載されて好評ですが、ここでは、防除に関して反響の多かった記事を2~3話ピックアップしてお届けします。

■雑草の根でピタリ センチュウ発生の見分け方

 熊本県旭志村の青木さんは、サニーレタス、ダイコンなどをつくる野菜農家。青木さんの畑は、ほかの人の畑よりも雑草が多い。
 その雑草のなかの一つ、この地方でイガイガ草と呼ぶ草を抜いて、青木さんいわく「この草の根の先がゴリゴリになっていたら、土のなかのバランスがくずれて、センチュウの害が必ずでる。私は、これを抜きながら土つくりを工夫してきた」。
 除草剤をふる前に、自然に生えてくる雑草を利用し、畑の状態を判断する。皆さんのまわりにも、こんな指標がいくつかあるのではないでしょうか。

熊本県旭志村より・保崎敏申 1986年10月号


■モグラも嫌い彼岸花 球根を刻んで、米ヌカと混ぜてうない込む

 妻沼《めぬま》町の神山明さん(五八歳)は奥さんと二人でネギやニンジンを作っています。神山さんのところもやはりモグラには頭を悩まされているとか。モグラがトンネルを掘ると、土が持ち上がってニンジンがタコ足になってしまうのです。
 どうしたものかと困っていたところ、同じ悩みを持つ知り合いの人からこんな対策を聞きました。彼岸花の球根を刻んで陰干ししたものを粉にして、米ヌカと混ぜて畑にうない込むのだそうです。これでモグラが寄らないとのこと。
 彼岸花がネズミよけになるという話が四月号のこのコーナーにありましたから、確かに効果はありそう。神山さんもこれから試してみるつもりです。
 ただしこの球根、人がそのまま口に入れても毒になりますので、取り扱いにはご注意。

埼玉県妻沼町より・岩田浩嗣 1994年10月号

■必見! 病害虫に強いコマツナは種で決まる 1年目は無農薬栽培、強い株から採種

 那珂町の鈴木賢三さんは、つくっているコマツナにいつも病気や虫を寄せつけないということで、町内ではちょっとした有名人。長年の秘密の技を特別に教えていただきました。
 まず、購入した種を三畝の畑に播いて、その年は無農薬で栽培します。すると当然、病気や虫にやられてしまうものが多くできてきます。同時に、病気や虫にやられていない大丈夫な株もいくつか残っています。その強い株から自家採種したものだけを、次年に作付けするのです。ただし、三年目は種がボケてしまうので使わないとか。
 この種へのこだわりで、賢三さんは質のよいコマツナをたくさんつくれる、というわけです。現在は、年に五~六回転して、スーパーに出しているそうですが、売れゆきは上々のようです。

茨城県那珂町より・中村純一 1996年11月号