防除の工夫
あっちの話こっちの話
農文協の普及職員がむらで聞いたいろいろな工夫は、月刊『現代農業』の常設コーナー「あっちの話・こっちの話」に掲載されて好評ですが、ここでは、防除に関して反響の多かった記事を2~3話ピックアップしてお届けします。
■通路に水を張ってアブラムシ撃退
岩手県北上市の高橋セイ子さんのユニークな野菜づくりから。ハウスの通路に常に水を張っているのです。これがアブラムシ除けになる。アブラムシを連れて来るアリは水が嫌いだから。アブラムシ自身も太陽に反射してキラキラ光る水面を嫌がってほとんど野菜に寄り付かないんだとか。
さらに去年は面白いことがありました。去年は冷夏だったため、いつもは外に卵を産むアオガエルが、暖かいハウス内の水を張った通路に卵を産み、通路はオタマジャクシだらけ。初めはびっくりしたそうですが、やがて孵化したアオガエルがアブラムシを食べてくれ、ますますハウスからアブラムシがいなくなったそうです。
岩手県北上市より・中島弘智 『現代農業』2004年8月号
■さわやか梅ジュースでアブラムシをキャッチ
門別町の松平恭子さんは、梅ジュースを作るのが毎年の楽しみ。作り方は、まず青梅1㎏をきれいに洗ってつまようじで所々穴をあけておきます。広口ビンに梅と砂糖1kgを投入。約3ヶ月間、1日に2回くらいずつ砂糖と梅がまざるようにビンを振り続けます。梅のエキスが出てドロッとした液体になったら出来上がり。水で薄めて飲めば、すれはもうさわやかな喉ごしの梅ジュースですが、恭子さんのお宅では飲むだけでは終わりません。自家用野菜ハウスの虫を捕まえるのに使うのです。
500mlのペットボトルの先端を切って、紐をつけ、ペットボトルの中に梅ジュースを3~5cmほど入れます。それを30坪のハウスに3~4個くらい吊るすのです。みるみるうちにアブラムシなどの虫が集まってきて、5月過ぎから9月ごろまでに、ペットボトルが虫で真っ黒になるほどだそうです。
北海道門別町より・川崎大地 『現代農業』2004年6月号
■アブラムシ、アオムシに効果バッチリ 超即席!のトウガラシ液
みじん切りにして煮込めば漬け込まずに1日でできる
田村雪子さんは柿木村野菜組合のメンバーで、島根生協・グリーンコープに減農薬のニラやミニトマトを出荷しているお母さんです。雪子さんが虫除けのために毎年愛用しているのが自家製のトウガラシ液。ふつうトウガラシ液を作るときは、焼酎や油に漬け込んで何カ月も待たなくてはなりませんが、雪子さんはたった一日で、しかも安上がりで強力なトウガラシ液を作ってしまいます。
作りかたはとても簡単。大鍋に約6lの水とみじん切りにしたトウガラシを1kgほどを入れます。あとは火にかけて水の量が半分ぐらいになるまで強火で煮立てるだけ。それを冷ましてからペットボトルに入れて冷蔵庫で保存すれば1年以上もつそうです。
このトウガラシ液は強力なので、使うときは作物の状態を見ながら濃度を調節しないと枯れてしまうこともあります。雪子さんは基本的にはじょうろ1杯(3L)の水にトウガラシ液を約300cc、焼酎と木酢をそれぞれコップ1杯ほど混ぜて、虫が付き始めたら作物にかけています。これさえあればアブラムシやアオムシ対策はバッチリで殺虫剤は使わなくてすむとか。1日でできるトウガラシ液なら気軽に試してみることができそうですね。
島根県柿木村より・細川恭子 『現代農業』2000年11月号
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