防除の工夫
あっちの話こっちの話
農文協の普及職員がむらで聞いたいろいろな工夫は、月刊『現代農業』の常設コーナー「あっちの話・こっちの話」に掲載されて好評ですが、ここでは、防除に関して反響の多かった記事を2~3話ピックアップしてお届けします。
■病気のニワトリには、砕いたトウガラシを一気飲みさせる!
伊野町の池上真理子さんの家で、ニワトリを健康に育てるコツを教えてもらいました。これは真理子さんのおばあさんの代から伝えられている飼い方だそうです。
まず、羽のツヤがなくなったり、トサカが黒っぽくなるのは病気になりかけの印。こんなニワトリがいたらすぐに捕まえて口を開けさせます。そして乾燥させたトウガラシ一本を砕いてオチョコ一杯の水に入れたものを、なんと無理やり一気飲みさせるのです。すると、食欲が旺盛になり、元気が戻るのだとか。
また、普段もニワトリの飲み水5lに対して10本ほどのトウガラシを入れておきます。エサにも砕いたトウガラシを適当に混ぜてやります。
「ニワトリはトウガラシ入りの水も、そのままのトウガラシも大好き。うちは放し飼いだから、余ったトウガラシを庭に放っておいたら、勝手につついて食べてしまうほど。私にはとても真似できないけれど」と笑って教えてくれました。
高知県伊野町より・生藤優佳(『現代農業』2003年1月号)
■クズ大豆でハクサイの根こぶ病を撃退!
板柳町の神山節さんに、クズ大豆をハクサイの根こぶ病予防に活用する方法を聞いてきました。
自家菜園で、毎年100本ものハクサイをつくる節さん、3年前まで根こぶ病に困っていました。ところが2年前、ハクサイの播種時に、クズ大豆をウネに入れてみたところ、根こぶ病が出なくなったのです。
大豆は播種の前日に、芽が出ないように上から熱湯をかけ、そのままつけておきます。翌日、播種前にウネを切って、ふやけた大豆、化成肥料、害虫よけのオルトランを入れます。
不思議なことに、これだけで一昨年も昨年も、一本も根こぶ病が出ませんでした。しかも勢いがよく、色が青くて、甘いハクサイになったそうです。
青森県板柳町より・小河健太郎(『現代農業』2002年8月号)
■リンゴ銀葉病は、枝を燃やした灰で退治
胞子で広がるリンゴの銀葉病。どうにもこうにも治す薬がなく、かかってしまったら最後、切るしかないという恐ろしい病気です。そこで、五所川原市の太田次男さんに教えてもらった秘策を一つ。
まず、せん定枝や病気になった枝を燃やした灰を、20lほどの空き缶に分けて保存しておきます。そして、銀葉病で葉が白っぽくなった木を見つけたらすぐに、缶3杯分の灰を、周囲半径1mほどにまくのです。毎年最低一度、こうしておくと、1年目、2年目と目に見えて回復し、3年目ともなると、病気にかかっていたのがわからないくらいに葉っぱが生き生きとして、幹もキレイになるそうです。
「これまでで一番効くやり方。灰の成分が土に浸透して、木に吸われ、中から木を元気にするのかな。リンゴにちょっとアクのようなにおいが出ることと、蜜が増えて日持ちが悪くなるという難点はあるけど、効き目は抜群」と太田さん。
灰が溶けやすいように、じめじめしたところを狙ってまいてやるのがポイントだそうです。みなさんもこんな廃物利用で、安く簡単に銀葉病を退治してください。
青森県五所川原市より・升水雄介(『現代農業』2003年1月号)
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