防除の工夫
あっちの話こっちの話
農文協の普及職員がむらで聞いたいろいろな工夫は、月刊『現代農業』の常設コーナー「あっちの話・こっちの話」に掲載されて好評ですが、ここでは、防除に関して反響の多かった記事を2~3話ピックアップしてお届けします。
■ダイズのハト害は灯油で解決
八鹿町の武村重義さんは、ダイズの集団転作に取り組む農会長。種子用のタマホマレのほか、1反ほどの黒ダイズもつくっています。武村さんが黒ダイズのハト害対策に、3年前に始めたという方法を、こっそり教えてもらいました。
なんと、種子用ダイズ約2kgに対してコップ半量くらいの灯油をまぶすだけ。武村さんは薄いビニールの手袋をして、即席ラーメンのプラスチックのどんぶりの中でまぶしていくそうです。これだけでハトによる食害を3分の1くらいに防げるとか。
「タマホマレは種子用だから、指導どおり忌避剤を粉衣しないとダメだけれど、黒ダイズは灯油だけ。灯油のほうが安いし、効果も変わりない」
この辺りではダイズの転作は始まったばかり。これからも研究を続けていくとのことです。
兵庫県八鹿町より・山邊将夫(2002年5月号)
■絶縁テープで胴枯れ病とも絶縁!
藤沢市の井上毅さんは、ナシとブドウをつくる専業農家。以前、7、8年目の若い幸水に胴枯れが多発し、薬もイマイチ効かずに困っていたことがありました。
実験好きな井上さん、「胴枯れ病は、乾燥しすぎないよう、空気に触れないようにしておけば治る」と聞いて、薬をやめ、病斑部を削ってから、ビニールの絶縁テープでぐるぐる巻きにしておくだけにしました。これで、ナシの胴枯れとも「絶縁」という作戦!
このやり方を始めて六年、確かに成果がありました。春先の被害が小さいうちにこの方法で治療しておけば、夏にはきれいに治ってしまいます。木質部まで削っても、テープを巻いておけばカルスの形成が早いのです。ただし、隙間から雨水が入ると、かえって悪化するので、テープを下から上に巻いて、雨水が入りにくくすることがポイントです。
しかし、絶縁テープの幅は3cm足らずと狭いのでコスト高。そこで、昨年、井上さんの友人でブドウの枝に紙のガムテープで試してみた人がいたのですが、枝が太りテープが破れてしまいました。ならばと、今年は井上さんはもう少し強度のある布製のガムテープを使って実験しようと思っているそうです。
神奈川県藤沢市より・五十嵐映子(2002年6月号)
■「木酢」の火事のにおいにネズミもゴキブリも退散!
「最近のネズミは檻に閉じ込めるワナにもさっぱりかからなくなった」といわれます。多度町の水谷直文さんも、家庭のゴミなどを食べにくる大きなドブネズミに困っていた1人でした。
ところが、昨年ワンカップ酒などの口の広いビンに木酢の原液を入れて、ビンの口を開けたままにして台所の四隅に置いておいたら、ドブネズミがまったく出なくなってしまったのです。「ネズミが逃げ出す家は火事になるというくらいだから、ネズミは物が燃えるような木酢のにおいに敏感で、逃げ出すんだろう。効果のほどは定かではないがゴキブリもいなくなったような気がする」と水谷さん。
多度町では木酢はいまや日常用品。コンビニでも1リットル1,000円くらいで売られていました。
三重県多度町より・鷹巣辰也(2002年6月)
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