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酪農家が求める乳牛の特性は近年、乳量・乳質とともに「飼いやすさ」も重視されている。病障害が少なく、丈夫で長持ちする牛とは? 改良の歴史から、種雄牛の造成、乳牛の体型、ショーまで収録。
改良の歴史と現在では、帯広畜産大学・萩谷功一氏が「乳牛改良の歩みと課題」で改良の重要性、改良システムの構築、遺伝的能力評価技術の発展、インターブル、これからの改良戦略などについて解説。また、家畜改良センター・大澤剛史氏が「乳用牛の遺伝的能力評価と改良の現状」で国際評価、ゲノミック評価、遺伝的改良の傾向などについて解説。
さらに、北海道ホルスタイン農業協同組合・河原孝吉氏が「乳牛改良における交配の仕組みと交配システム」で選抜と交配の考え方、純粋繁殖下の遺伝改良と近交係数の上昇、遺伝子発現のコントロール、交配計画を支援するシステム、品種間交雑とヘテローシス効果について解説。
種雄牛の造成では、「わが国での種雄牛造成」について家畜改良事業団・足達和徳氏、ジェネティクス北海道・花牟禮武史氏、十勝家畜人工授精所・児玉辰司氏が解説。また、「国外からの精液輸入」について家畜改良事業団・高野みなを氏、オールジャパン ブリーダーズ サービス・竹田秀臣氏が解説。
乳牛の体型・ショー(図1、2)では、元協同飼料・荻原勲氏が「乳牛の体型の見方」で良いホルスタイン、大量の牛乳生産、長命連産、作業性、乳牛らしさなどについて解説。また、「ショーでのリード・テクニックとマナー」で頭絡、姿勢、修正、マナー、審査員、ベスト・アダー、ベスト・プロダクション、チャンピオン戦などについて解説。
図1 吉川一郎氏のグツドリバーチヤンピオンハーゲン号。2009年9月生まれ,5産で生涯乳量5万6,434kg。2018年神奈川県B&Wショー高能力牛の部で第1位
図2 軟らかく弾力性のある(テクスチャーがある)良い乳房(上)は搾乳後、たくさんの縦じわができ、左右の乳頭が近づく(下)
酪農では、帯広畜産大学・古村圭子氏らが「子牛の顔を見て体調を知るカウシグナル」で従来法よりも子牛の個体管理の省力に役立つ簡易な健康診断法について解説。また、宮崎大学・坂本信介氏らが「野生動物の牧場への侵入の実態と特徴」で畜舎などでの撮影によって侵入状況を把握し、出現パターンの特徴について解説(図3)。
図3 イタチの侵入。畜舎には多種多様な野生動物が出入りする
肉牛では、帯広畜産大学・口田圭吾氏が「小ザシの画像解析と評価」で小ザシの定義、撮影装置と解析方法、遺伝分析とその趨勢、枝肉単価に及ぼす影響、嗜好性や脂肪酸組成との関連性などについて解説。また、岩手大学・村元隆行氏が「日本短角種もも肉の利用を促進するための加工技術」で果汁浸漬による肉の軟化、生ハム製造のための肉の塩漬について解説。
養豚では、酪農学園大学・山田未知氏が「北海道産未利用原料を用いた肥育豚の飼料設計」で肥育期飼料の設計とその栄養成分分析、設計飼料の給与試験、成績などについて解説。また、和歌山県畜産試験場・前田恵助氏が「肥育豚へのエコフィード給与における砂糖やチョコレートによる脂肪質改善技術」で飼料への添加の影響などについて解説。