近世には、高度な資源活用型の農産加工業があった。加工技術の進展と販売ネットワークによって生産物の付加価値が高まり、国内経済は活性化した。近代の開幕を用意した農産加工業を支えた農書群の歴史的意義を説く。
永常の前著『油菜録』が栽培について述べるにとどまり,搾油法にはふれていなかったので,それを補う意味で刊行したもの。綿実の搾油法にもふれている。その技術は現代にも通用する。
さとうきびの導入を,麦や菜種の間作として,つまり諸作のつくり回しのなかに組み込んで説いているところに本書の特徴がある。製糖技術としては中国渡りの伝統的な方法と,讚岐流の新しい技術を重層的に述べている。
くずは,くず粉をとる素材として,また薬としても利用でき,茎からは糸をとって布に織ることもできるという重宝な植物である。本書はくず粉のとり方,くず布の製法を図解入りで説明している。
中国への輸出海産物である俵物(海鼠=干しなまこ,干しあわび,ふかひれの3点)と諸色(昆布など俵物以外の乾物)の製法や規格を彩色図入りで解説。