口絵

農業日用集(豊前)<のうぎょうにちようしゅう>

渥美の国学者による農事の具体的な要領集。栽培時期と施肥法を中心に述べていくところに特色がある。豊後国四日市の「桂懸堰」をつくり農業に尽くした渡辺宗綱の第3子綱任の農事指南書。『農業全書』に学び栽培法を説く。

櫨徳分并仕立方年々試書(豊前)<はぜとくぶんならびにしたてかたねんねんこころみがき>

はぜ栽培の利益と育苗,接ぎ木,施肥にいたるまでの技術を細かく記す。著者・上田俊蔵ははぜの優良種「群烏」を生み出し,技術を公開して普及させ,後年『櫨育口伝試百ケ條』を著わした。

久住近在耕作仕法略覚(肥後)<くじゅうきんざいこうさくしほうりゃくおぼえ>

阿蘇の郡代が,3人の農夫に米麦,たばこ,麻など各種作物の栽培法をたずね,さらに2,3の老農に意見を求めてまとめた書。

合志郡大津手永田畑諸作根付根浚取揚収納時候之考(肥後)<ごうしぐんおおつてながたはたしょさくねつけねさらえとりあげしゅうのうじこうのかんがえ>

稲・麦・野菜・麻・たばこなど,田畑作物の植付けから収穫までの適期の要点を簡潔にまとめる。準備すべき農具は図入りで解説。

肥後国耕作聞書(肥後)<ひごのくにこうさくききがき>

薩摩藩士が,文政初年に,肥後国滞在中に見聞したことと,天保末年に再来遊して得たことを合わせて記述。肥後国の年間の農業生産,生活を示す。

砂畠菜伝記(筑前)<すなばたけさいでんき>

福岡藩の下級武士が,生活の補いのため,屋敷内の砂畠に野菜を栽培した結果を詳述した書。