口絵

農家捷径抄(下野)<のうかしょうけいしょう>

大百姓が未熟な農民のために「農民のまず実行すべき任務」を明らかにするためにまとめた書。田畑各2反を夫婦2人と馬1頭で耕作するという前提で「採算モデル」を検討している。

稼穡考(下野)<かしょくこう>

米麦,雑穀から野菜の栽培法にいたるまでを述べ,黒羽藩の栽培基準書たらしめようとした書。農民の書上げをもとに藩主自ら編さんしたもので,黒羽藩の農業の実態を反映している。

精農録(下総)<せいのうろく>

日々の天候,農作物の種類,作業別の労力を中心にした労働と生活の記録。問答の形式をとって技術の内容を深めているところに特色がある。

耕作仕様書(武蔵)<こうさくしようしょ>

穀類,野菜の技術と経営について詳述するが,なかでも野菜の記述が詳しい。大消費地江戸をひかえた野菜産地としての特色の出ている書。さつまいもの早掘りなども始めている。

社稷準縄録(相模)<しゃしょくじゅんじょうろく>

相模国の小川家の農業実践記録。時代によっていろいろに名をかえて昭和26(1951)年まで続く記録のなかから特色ある2年分を収録。各種作物の播種量,施肥量を克明に記し,明日への反省材料にしている。

年々種蒔覚帳(相模)<ねんねんたねまきおぼえちょう>

相模国小川家の天保8年の農事実践記録。八王子市場の相場をにらみながら作物の選定,肥培管理・経営を営んでいたようすを克明に記録する。