口絵

窮民夜光の珠(筑前)<きゅうみんやこうのたま>

有利な商品作物であるはぜの栽培法と製ろうの仕方を詳細に解説した古典的名著。著者自らがはぜ栽培の先覚者で,庄屋としての立場から農民に示したもの。のちに,大蔵永常は本書をもとに『農家益』を著わした。

郷鏡(肥前)<ごうかがみ>

長崎県諫早地方の農書。とくに播種から収穫までの農作業の手順を記す。水稲はもちろん,あわなど畑作物も記述。

園圃備忘(筑前)<えんぽびぼう>

著名な本草学者貝原益軒による,春夏秋冬,農作物,花,果樹類などの農事暦を示した異色の備忘録。「貝原益軒全集」にも収録されていないもの。

九州表虫防方等聞合記<きゅうしゅうおもてむしふせぎかたとうききあわせのき>

加賀大聖寺藩の農民による先進地北九州の虫防ぎや苗代のつくり方を視察した道中記,かつ出張復命書。各地をめぐって,多くの人に会ったことが,克明に記録されていて興味深い。

野口家日記(肥前)<のぐちけにっき>

佐賀平野の一農民が農事の詳細を日々克明につづったもの。耕種,肥培,収量はもとより,凶作,流行病なども記す。幕末期佐賀平野クリーク地帯の土地利用が示される。