『現代農業』編集部
これらは、名人はどこかにいるものではなく、農家一人一人みんなが工夫して、それぞれ名人になろうという気持ちを込めてのことです。『現代農業』は、読む人が参加してやってみたくなるような誌面、心に届く誌面づくりを目指しています。
考えてみれば、農村に暮らす人たちは、昔から一人一人が自然や作物とつきあう技に長けた「名人」揃いでした。里山や田畑の恵みを上手に育てながらいただいて、自ら加工し、楽しく食べる。原油高騰で頭の痛い燃料だって、昔は薪を切ったり炭を焼いたりしながら自給していました。最近、町に住む人たちの羨望の的の「むらの暮らし」とは、むらびと全員が「名人」であるような農村・農家のあり方なんだと思います。
いま、農村では「担い手の絞り込みをしなければ」ということが言われていますが、「一人のすぐれた人がいれば、村全体がうまくいく」ということは決してなく、農や自然と向き合いながら、日々をワクワクいきいきと暮らしていく大勢の一人一人の心の友であり続ける雑誌でいたいと思っています。
まずは、新年1月号「直売所名人になる!2」の大特集からご覧ください。「全国各地に直売所ができて、安売り競争時代に入った」などと評論する人も多くなってきましたが、そんなことを気にせず、次々に工夫をこらし、地元のお客さんが買いたくなるようないろんな展開をしていく人のことを「直売所名人」と呼んでいます。農家ならではのユニークな荷姿や、出荷時期のずらし方…など、農家が本気で流通を握るための具体的な工夫満載です。