見るからに香ばしく、かりっと揚がった桜えびのかき揚げは、駿河《するが》湾に面する静岡市由比地区で昔から親しまれてきた味です。由比地区は桜えびとしらす漁が盛んで、とくに桜えびは日本一の漁獲量を誇り「桜えびの町」として有名です。今でこそ冷凍で流通しますが、鮮度の落ちやすい生の桜えびは、昔は地元で消費……
小麦粉でつくる関東とは違い、もち米の道明寺粉でつくる関西の桜もちです。もっちりとした中にもつぶつぶ感のある生地には桜の葉の香りとほんのりとした塩味が移り、あんの甘さを引き立てます。 道明寺は藤井寺市にある菅原道真公ゆかりの尼寺です。大宰府に流された道真公の無事を祈る陰膳のお下がりのご飯にご利益が……
東京では桜もちは、3月3日の上巳《じょうし》の節句(桃の節句)によく食べます。端午の節句の柏餅と並び季節を感じさせるお菓子のひとつで、春になるとたいていの和菓子屋で販売されます。塩漬けの桜の葉の香りと塩気が、甘いこしあんと不思議とよく合います。 関東で桜もちというと、小麦粉生地の皮でこしあんを包……