三浦半島は三方を海に囲まれ、半島の先には遠洋漁業の拠点となる三崎漁港があります。新鮮な魚が身近にあり、温暖な気候を生かした露地野菜の栽培もさかんです。横須賀港には軍の基地があったため農作物の需要が多く、野菜の品種改良も行なわれ、大正の頃、在来種の高円坊《こうえんぼう》大根と東京の練馬大根を交配し……
埼玉県は海のない県なので新鮮な魚こそ手に入りませんでしたが、県北東部に位置する加須市は川が近く土地が豊かだったため、庭先ではさまざまな野菜が栽培され、折々の季節に旬の野菜を楽しみました。料理はとれたての野菜の味を生かすものがほとんどで、貯蔵加工はあまりしませんでした。白和えのほかにも、浅漬けや天……
薩摩半島南端の指宿《いぶすき》市山川《やまがわ》地区では、干し大根を塩だけで漬ける山川漬が400年以上前からつくられています。日常のおかずやおやつのほか、古くから漁業がさかんな山川では保存食として漁船に積みこまれました。製法は中国伝来で最初は唐漬《からづけ》と呼ばれ、江戸時代になって山川漬になり……