春先にとれる食材や、冬の間につくった「へそ大根」、乾物のにしんなどの具材をたっぷり使った料理で、県北部では普段の食事や端午の節句のごちそうに出されます。ここでよく利用される淡竹《はちく》は、やわらかい食感で、春の煮物に欠かせません。へそ大根は輪切りの大根をゆでてから真ん中にワラひもや細い竹の棒を……
現在も噴煙を上げる桜島で昔からつくられているのが、鹿児島で「島でこん」と呼ばれる桜島大根です。軽石などの火山礫が混ざった土壌ではイネや普通の野菜は育ちにくく、この大根だけがよく育ったそうです。 大きな姿からは想像しがたい繊細な味わいで、肉質は緻密で繊維質が少なく、煮物にすると箸ですぐ切れるほどや……
奈良市や天理市の雑煮は焼き丸もちの白味噌仕立てです。もちは雑煮から出し、きな粉をつけて食べます。丸く切った大根や里芋などの具には和(輪)を大事に、丸く収まるようにとの思いが込められ、きな粉は黄金色が豊作を意味しています。豆腐は白壁の蔵が立つようにと蔵に見立てて切ります。 大和郡山市は白味噌仕立て……