記事の概要

テキストを見る


もどる
記事IDS200511_040
作品種別食農教育
特集タイトル
上位サブタイトル素材研究●教材への切り口 紙
連載タイトル
記事タイトルコウゾで紙漉き
下位サブタイトル一〇〇〇年残る紙のつくり方
年・月2005年11月号
開始ページ86
執筆者冨樫郎
執筆者所属和紙のふるさと和紙展示館
取材対象
地域1
地域2
現地域
見出し●特徴(1) 日本人の知恵、流し漉き●特徴(2) 和紙は一〇〇〇年洋紙は一〇〇年●特徴(3) 水の力で容易にリサイクル●特徴(4) 襖の下張りや油取り紙にリユース●洋紙に活かされる和紙
キャプション約1000年前の紙。世界最高品質といわれる和紙は、どのようにつくられるのだろう?/コウゾの刈取り。葉が落ちた11月~1月ころに根元から刈り取る。/(1)コウゾの栽培、刈取り 日当たりと水はけの良い畑で栽培。枝がまっすぐ育ち、傷がつかないように草刈りや芽掻きなどをする。春に芽が出た枝は秋までに約3mに育つ。なお、コウゾは、一年目の枝を使う。二年目以降の枝は繊維が硬く、スジやキズ、不純物などが多くなる。/(2)コウゾ蒸し コシキに入る長さにそろえて束ねたコウゾに大きな桶を被せ、3~4時間蒸し上げる。皮を剥ぎ取りやすくするため。/(3)皮剥 冷めないうちに根元から先に向けて手早く皮を剥ぎ取る。このとき、皮が1枚で剥けるように注意する(バナナのように剥くと、あとの作業に手間取る)。剥ぎ取った皮を「黒皮」と呼び、天日でしっかり乾燥し保存する。/(4)タクリ(表皮取り) 保存してある黒皮を一昼夜水に浸け、表皮を剥ぎ取りやすくする。水の浸透した黒皮に、タクリコと呼ばれるナイフを当て表皮を剥ぎ取る。表皮を剥ぎ取った皮を「白皮」と呼ぶ。白皮を乾燥し保存する場合もある。/(5)煮熟 白皮を水に浸け、皮の中心まで水分を浸透させる。釜に湯をわかし、白皮を入れソーダ灰や灰汁で約3時間煮る。煮ることで繊維中の糖分、脂質、タンニン、リグニンなど不純物を取り除き、純粋なセルロース繊維となる。/(6)川さらし 川などの流水に24時間ほどさらし、ソーダを洗い流すとともに、天日により繊維を白くする。/(7)チリ取り コウゾを水槽に入れ、水に漂わせながら手でていねいにキズなどのチリを取り除く。これを怠ると、品質を落とす。冷たい水に手を浸けながらの作業のためアカギレが絶えない。/(8)叩解 チリ取りの終えたコウゾを叩き台にのせ、バイと呼ばれる角棒で繊維を解きほぐすようにていねいに叩く。叩き方が足りないと長い繊維の残った品質の悪い和紙となる。/(9)トロ(ネリ)の混入 和紙を漉くのに欠かせないものにトロ(ネリ)がある。トロロアオイの根などから抽出した植物性の粘液である。水槽に入れた繊維を均等に浮遊させるとともに、繊維同士の結合を助け、丈夫で美しい和紙に仕上げる補助的役割をする。/(10)ザブリ フネ(紙漉用の水槽)に水と繊維とトロを加え、マセ(馬鍬)という櫛状の道具でよく攪拌する。これをザブリといい、ザブリの済んだ状態の水槽をフナミズ(舟水)という。フナミズができて、いよいよ紙漉きが可能となる。/(11)紙漉き スケタ(簀桁)というスダレと木枠を組み合わせた道具でフナミズを汲み込み、前後左右に揺り動かして水を濾過する。スケタの上で動かされたコウゾの繊維は、複雑に絡み合いながら積み重なる。職人は、好みの厚さになるまでフナミズを汲み、紙層を整える。こうして和紙が漉かれる。/(12)シト(紙床) 漉かれたばかりの湿紙は、シトに移され積み重ねられる。一日分積まれた湿紙は、一晩放置され自然に水を切る。/(13)圧搾 翌日、積まれた湿紙に板を乗せジャッキなどで徐々に加圧し水を搾る。/(14)板張り 十分に水が搾れたら、紙床からていねいに剥がし、板に張り付ける。基本的には、板に貼られた面が和紙の表となる。/(15)乾燥 天日乾燥により紙は白さを増す。乾燥が終わり、板から剥がされ、検品に合格したものが和紙である。
記事区分
親記事/かこみ
作目
備考/キーワード
ページ数(ポイント数)6