リンゴの病気

●葉の被害

斑点ができるもの 斑点は円形 円形,不正形または輪紋状に拡大する 斑点落葉病
表面に黄橙色の小粒点裏側に毛状体を生ずる 赤星病
斑点は円形。斑点は円形―円形,明瞭な輪紋斑がある 環紋葉枯病
初発時に形成され,円形で虫糞状の顆粒がみられる 褐斑病
斑点は不正形。カビが樹枝状にひろがる 黒星病
斑点は不正形。春先の若葉に現われる モニリア病
斑点は不正形。7月以降に形成され,虫糞様の顆粒がみられる 褐斑病
斑点のないもの 斑入りになる。葉脈の黄化,モザイク斑紋ができる モザイク病
斑入りになる。主脈の両側褐変 硫黄剤の薬害
斑入りになる。葉縁がまいてうら側が黄褐色 ボルドーの薬害
全体が黄変,しおれる 紫紋羽病
高接病
腐らん病
ソヒ病
葉が鉛色を呈し,表面が破れる 銀葉病
白色粉状物で覆われ,葉縁が波を打つ うどんこ病

●果実の被害

樹上果に発生。腐る 幼果が腐る モニリア病
未熟果に発生。早期落果する 疫病
生育の後期に腐る。鮭肉色の粘質物形成 炭疽病
生育の後期に腐る。灰褐色の粉状物形成 灰星病
樹上果に発生。腐らない 斑点ができる(斑点は表面的) スス状不正形の汚斑点を生ずる すす斑病
ハエ糞状の小点が集合する すす点病
果面の一部が褐変する 硫黄剤の薬害
斑点ができる(斑点は表面的ではない) スス状のカビが生じ,果面は粗ぞう 黒星病
尻の部分に斑点ができる 黒点病
幼果期にカサブタ状の小さな斑点ができる 炭疽病
カサブタ状の斑点ができる 斑点落葉病
尻の部分に橙黄色の大きな斑点をつくる 赤星病
梗あ部~肩部に楕円形の黒褐色斑点。その中に黒色小粒点 褐斑病
コルク層が形成される。奇形になる 幼果から凹凸が激しい 奇形果病
コルク層の形成が激しい さび果病
果肉も褐変する シュクカ病
コルク層が形成される。奇形にならない うすいコルク層が形成される さび果病
成熟果・貯蔵果に発生。腐る 水浸状に腐り白~緑色のカビがみえる 青かび病
品種によって異なるが主として輪紋 輪紋病
成熟果・貯蔵果に発生。腐らない 果点を中心に紅玉に発生する 紅玉斑点病(ジョナサンスポット)
アバタ状に国光に発生する クトウ病(ビターピット)
ビターピット(苦とう病)

●枝,幹の被害

新梢の生育が不良になる 全体で衰弱する 紫紋羽病
高接ぎしたために衰弱する 高接病
一部の枝,幹に症状が現われる 表面に亀裂が生じザラザラする ソヒ病
輪紋病
患部は腐り,サメ肌状にブツブツができる 腐らん病
腐ったところに紫色のキノコができる 銀葉病
鮮やかな紅色の菌糸層で覆われる 赤衣病
新梢に症状が現われる 先端が白色粉状物で覆われる うどんこ病
円形~楕円形のくぼんだ斑点ができる 斑点落葉病
主幹に症状が現われる 地際から上部が褐変 胴枯病
地際部と根の一部が褐変 疫病

●根の被害

腐る 根の表面に灰白色の菌糸を生ずる 紫紋羽病
根の表面に紫褐色の菌糸を生ずる 紫紋羽病
腐らない 台木の樹皮が褐変し,木質部に溝ができる 高接病
地際の茎や根に,黒褐色のごつごつしたがんしゅができる 根頭がんしゅ病

リンゴの害虫

●葉の加害

吸引して害する 葉が巻き込まれる,葉うらにアブラムシ(あるいは脱皮カラ)が見られる 縦に巻き込まれる リンゴコブアブラムシ
横に巻き込まれる リンゴクビレアブラムシ
ニシヤワタアブラムシ
巻き込みはわずかであるか,ほとんどわからないくらい ユキヤナギアブラムシ
葉が巻き込まれる、葉うらにアブラムシ(あるいは脱皮カラ)が見られる 巻き込みはわずかであるか、ほとんどわからないくらい リンゴミドリアブラムシ
葉が巻き込まれない 加熱された痕(カスリ状白斑か黄斑)。葉がスス病でよごれる ナシグンバイ
オウトウハダニ
加害された痕(カスリ状白斑か黄斑)。葉がすす病でよごれる ニシヤワタアブラムシ
加熱された痕(カスリ状白斑か黄斑)。葉がとくによごれない イシダヒメヨコバイ
リンゴハダニ
加熱された痕(カスリ状白斑か黄斑)。葉の裏が褐色になる ナミハダニ
リンゴサビダニ
加害されたあとはよくわからないが,スス病でよごれる クワコナカイガラムシ
オオワタコナカイガラムシ
加害されたあとは葉の展開にともない,孔あき症状になる カスミカメムシ類
かじって害する 葉が巻かれている 葉を横に筒状に巻く カクモンハマキ
葉をつづり合わせて巻き込む ミダレカクモンハマキ
リンゴコカクモンハマキ
リンゴモンハマキ
アトボシハマキ
トビハマキ
リンゴシロハマキ
クロネハイイロハマキ
キリガ類
葉は巻かれていない 群がって巣をつくる リンゴスガ
オビカレハ
アメリカシロヒトリ
群がるが巣をつくらない モンクロシャチホコガ
群がらない。からだは露出している ヒメシロモンドクガ
モンシロドクガ
オオシマカラスヨトウ(シマガラス)
リンゴツノエダシャク(シャクトリムシ類)
ヨモギエダシャク(シャクトリムシ類)
ウスジロエダシャク(シャクトリムシ類)
シモフリトゲエダシャク(シャクトリムシ類)
キリガ類
群がらない。からだは筒状かミノ状の巣に入っている ニトベミノガ
ピストルミノガ
葉の中にくぐって食害する 食害部が楕円形に隆起し,表がカスリ状になる。若い葉を食害し,食害部は褐変し内側にまく キンモンホソガ
ギンモンハモグリガ

●花の加害

花弁をつづる ミダレカクモンハマキ
リンゴアオミシャク
花弁をつづらない ピストルミノガ

●葉,果実の加害

果実と葉が接触していると幼虫がその間に潜入し,果面を食害 リンゴコカクモンハマキ
リンゴモンハマキ

●果実の加害

吸収して害する 果面がよごれる クワコナカイガラムシ
オオワタコナカイガラムシ
リンゴワタムシ
幼果が黒くよごれる ニシヤワタアブラムシ
果面はよごれない 加害痕が残る ナシマルカイガラムシ
クワコナカイガラムシ
アブラゼミ
果実吸蛾類
カメムシ類
カスミカメムシ類
リンゴコブアブラムシ
加害痕が残らない(細長いカイガラムシがついている) リンゴカキカイガラムシ
かじって害する 外部をかじる カクモンハマキ
ピストルミノガ
オオシマカラスヨトウ(シマガラス)
内部を食害する モモシンクイガ
ナシヒメシンクイ
果実のみに加害。果実の果皮直下の浅い部分を面的に食害 スモモヒメシンクイ
産卵して害する 表面に産卵する アブラゼミ
落花直後の幼果がかじられる。黒褐色カサブタ状の産卵痕がみられる モモチョッキリゾウムシ
成虫は7月中旬ごろから発生。果面が吸汁され,くぼんでやや褐変する ツノアオカメムシ

●枝,幹の加害

吸引して害する コブ(虫えい)をつくる リンゴワタムシ
コブをつくらない(虫が枝についている) ナシマルカイガラムシなどカイガラムシ類
かじって害する 外部からかじる オオシマカラスヨトウ(シマガラス)
ミノガ類(ピストルミノガ)
内部に入って食害する 新梢が心折れになる ナシヒメシンクイ
枝,幹の内部でかじる カミキリムシ類(ウスバ)
食入孔が1~2mm弱と小さい キクイムシ類
樹幹の地際部に食入する リンゴアナアキゾウムシ

●根の加害

根にコブをつくったり,腐らせたりする ネコブセンチュウ(センチュウ類)
リンゴワタムシ
根の表皮が食害され,細根がほとんどみられない コガネムシ類

●枝の加害

春剪定のころ枝切り口,分岐部に2mm程度の灰褐色,扁平な成虫が寄生。排泄物によりすす病を併発 モミジノワタカイガラムシ
冬,前年枝に1.5mm程度の褐色,短形の幼虫が着生。春に成虫になると球形に肥大する タマカタカイガラムシ
樹体内の木質部を食い荒らすが,虫糞を外に排出しないため,太枝が折れたら注意する ウスバカミキリ
木の太い部分には入らず,食入孔は枝の下面にある。地面には褐色の虫糞が積もっている クワカミキリ
亜主枝やそれより細い枝に食入するため木の上部に被害がある。食入孔は悪臭がただよう ボクトウガ

●蕾葉の加害

開花直前から幼虫がつぼみや葉に集団で寄生し,激しいと丸坊主になる マイマイガ

●新梢の加害

花そう新梢の基部が一回り食われ,その上方が枯れる カシルリチョッキリ

●幹の加害

地際近くの樹幹に産卵,幼虫は初め樹皮下を食害するが成長すると木質部に侵入する リンゴアナアキゾウムシ
幼虫が木質部へ侵入し,根元から木屑状の虫糞を噴出している ゴマダラカミキリ

●根葉枝の加害

根の皮層をかじり樹勢が衰え,葉はつやがなく新梢の生長も悪い コガネムシ類