オウトウの病気

●葉の被害

茶褐色の円形斑点または淡褐色の不整形病斑で,5~7月に発生する 灰星病
褐色の円形病斑で,せん孔し落葉する。梅雨あけから10月まで発生する せん孔病
黒褐色で不整形~円形の大型病斑で表面がザラザラ。後期には葉やけ状になり垂れ下がる葉もある 炭疽病
褐色の不正形斑点,退緑色の不正形斑点(モットル)を生じる。5月以降に発生する 芽枯病
新葉にハローを伴う褐色不正形斑点を形成し,のちに黒色化しせん孔する 樹脂細菌病

●花の被害

淡褐色に枯死し,ガク部に灰褐色の小粒点をつくる 灰星病

●果実の被害

幼果で微細斑点ができ,茶褐色にへこみ,熟果では軟腐して灰褐色粉状の分生胞子塊を密生する 灰星病
淡褐色に軟腐し,ネズミの毛のような灰色のカビをそう生する 灰色かび病
暗褐色に軟腐し,黒いカビで覆われる 黒かび病
茶褐色の病斑が凹状になり橙黄色~鮮肉色の分生胞子堆をつくる 炭疽病
成熟果が裂開して溝ができる 実割れ
褐変陥没して縮果状になる ほう素欠乏症
果実が肥大せず,黄変しシワを生じて褐変する ミソダマ

●枝の被害

灰色あるいは茶褐色の菌層が,地衣のように枝や幹にはりついている こうやく病
幹や枝から樹脂(ヤニ)がでる 樹脂細菌病
ヤニの出ている部分の表皮をはぐと,皮層が褐変している。病斑上にある枝や芽が枯死している 樹脂細菌病

●根の被害

地際根部に1~数個のこぶを形成。こぶが肥大すると黒褐色でごつごつして固くなる 根頭がんしゅ病
盛夏に葉が急にしおれる。根部には,白紋羽病の場合は新しいものは乳白色,古くなると灰色の,紫紋羽病の場合は黒褐色の菌糸束が見られる 紋羽病

オウトウの害虫

●葉の加害

葉脈と葉裏の表皮とが残され,葉肉が食害される ウチイケオウトウハバチ
葉を吸汁する。ナミハダニは葉の表裏全体が黄褐変。リンゴハダニは葉表がかすり状に白化,オウトウハダニは葉脈間が白化 ハダニ類
加害直後は,展開中の新葉に無数の微小褐色斑点(吸汁痕)がみられる コアオメクラガメ
葉が展開すると吸汁痕は大小不規則の破れたようなせん孔症状として残る コアオメクラガメ
葉をつづりあわせて巻き込む ミダレカクモンハマキ

●花の加害

花弁と花をつづり合わせる ミダレカクモンハマキ

●果実の加害

果肉,とくに種子のまわりの果肉が食害される オウトウハマダラミバエ
加害直後は,幼果に無数の微小淡褐色斑点(吸汁痕)がみられ,成熟果になると吸汁痕は凹凸症状として残る コアオメクラガメ
幼虫が果肉を食害し,果面は黒褐色に変色する オウトウショウジョウバエ
外部をかじる ミダレカクモンハマキ

●枝,幹の加害

枝や幹に寄生して汁液を吸収し,加害する。寄生が多いと早期落葉や枝枯れが生じる ウメシロカイガラムシ
樹皮に樹脂と虫糞がみられる コスカシバ