ナシの病気

●葉の被害

斑点ができるもの 斑点が黒色。円形,表面にカビなし,葉がゆがむ 黒斑病
斑点が黒色。葉脈上に樹枝状病斑,脈間には不整形斑点,表面にカビ 黒星病
斑点が黒色。不整形,小さな斑点が多数 えそ斑点病
斑点が黄色,褐色。葉表に直径4~8mmの鮮やかな橙黄色の病斑を生じる。 赤星病
斑点が黄色,褐色。不整形,はじめ小黒点,のちに大型の黒褐色病斑。葉全体の黄化 炭疽病
斑点が黄色,褐色。不整形,褐色の小さな斑点 褐斑病
斑点が黄色,褐色。円形,はじめかっ色,のちに灰白色,黒色小粒あり 白星病
斑点に輪紋がある。大きな斑点,のちに黒色小粒を散生 斑点病
斑点に輪紋がある 輪紋病
葉柄に病斑。微小黒点が多数発生 炭疽病
斑点のないもの 白い菌そう。裏面に白い菌そう,秋になると黄~黒色の小粒 うどんこ病
奇形化。枝の先端の葉が奇形化 変葉病
葉が波打ったように萎縮し,葉の縁や先端が黒変 萎縮病

●果実(幼果)の被害

黒色,円形の斑点 カサブタ状になることもある。すす状に胞子形成,落果しにくい 黒星病
へこんだ病斑,カビが少なく,落果しやすい 黒斑病
乾燥してミイラ化する 疫病

●果実(生長期)の被害

果実が割れる 割れ目にカビを生じない 黒星病
割れ目に黒いカビを生ずる 黒斑病

●果実(熟果)の被害

円形病斑 表面に菌そうあり 黒斑病
表面に菌そうなし,まばらに胞子形成,カサブタ状になることもある 黒星病
表面に菌そうなし,輪紋あり,病斑部が軟化 輪紋病
中心部の腐敗 果心部から腐敗する 胴枯病
果面の変形 スイカ状のシマ 変葉病
ユズ状のハダ ゆず肌病

●枝の被害

斑点を生ずる 円形,カサブタ状 黒星病
長楕円形,表面粗ぞう 黒斑病
褐色,楕円形で,同心輪紋あり 胴枯病
イボを生ずる まるいイボ,まわりの樹皮はまるく枯れる 輪紋病
枝が枯れ上がる 褐色,楕円形,同心輪紋あり,病斑上に多数の小点あり 胴枯病
病斑上にサメ肌状に多数の小点あり 枝枯病
枯枝上に多数の淡紅色小粒あり 紅粒がんしゅ病
枯枝上に特徴のあるものなし 疫病
病斑部がさび色となる,新梢は黒変枯死する さび色胴枯病

●幹の被害

幹に出る 切口を中心に病斑,楕円形の病斑上に小点あり 胴枯病
病斑部に淡紅色あるいは深紅色の小粒を生ずる 紅粒がんしゅ病
イボの集団,その付近から丸く枯れる 輪紋病
病斑部がさび色となる さび色胴枯病

●根の被害

根に出る 根が腐り,菌糸束,菌膜を生ずる 白紋羽病
根にひも状の菌糸束が付着し,秋にはきのこを生ずる ならたけ病
根にコブができる 根頭がんしゅ病

ナシの害虫

●葉の加害

吸収して害する 葉が巻きこまれる 嫩芽・葉を不規則にいちじるしく巻きこみ,すす病を併発する ナシキジラミ
葉表に寄生し,左右両縁を内側に巻きこむ アブラムシ類(ナシアブラムシ)
葉裏の葉縁に寄生し,外側に巻いて,火ぶくれ状となる アブラムシ類(ナシハマキワタムシ)
葉裏の中肋に寄生し,葉を外側に重ね合わせたように巻きこむ アブラムシ類(ナシマルアブラムシ)
巻きこみはわずかで,ほとんどわからない アブラムシ類(ユキヤナギアブラムシ)
徒長枝上位葉が暗褐色を呈し,萎縮・硬化して,葉裏側に湾曲する ニセナシサビダニ
葉が巻きこまれない 主に葉に寄生し,すす病および葉の黒変が発生する。黄化・落葉することもある チュウゴクナシキジラミ
葉裏の中肋に沿って両側から向かい合って並列して寄生する。多寄生の場合,落葉する アブラムシ類(ナシミドリアブラムシ)
葉裏に群生し,排せつ物によってきたなくよごれ,葉表は顕著に葉緑がぬけて灰白色となる ナシグンバイ
葉裏に集団寄生し,その部分は褐変するが,葉表の白斑はそれほど大きくない ハダニ類(オウトウハダニ)
ハダニ類(カンザワハダニ)
ハダニ類(ナミハダニ・赤色型)
ハダニ類(ナミハダニ・黄緑型)
葉の両面に寄生し,小さな白斑がカスリ状にあらわれる ハダニ類(リンゴハダニ)
ハダニ類(クワオオハダニ)
ハダニ類(ミカンハダニ)
かじって害する 葉が巻かれている 葉を縦に二つに折り合わせ,その中で葉肉を食害する リンゴハマキクロバ
ハマキムシ類
葉をつづり合わせて巻きこみ,その中で葉辺から蚕食する ハマキムシ類
葉は巻かれない 群がって巣をつくる オビカレハ
群がらない。からだは露出している イラガ
クロシタアオイラガ
ヨモギエダシャク
リンゴハマキクロバ(夏季)
ナシチビガ(初齢以外)
モンクロシャチホコ
からだは露出しているが葉を重ねて食害する チャハマキ
からだはミノ状の巣にはいっている チャミノガ
オオミノガ
葉の中にもぐって食害する ナシチビガ(初齢)
かじって害する ドクガ
ヒメシロモンドクガ
かじって害する 卵は200~300粒が指輪状に産みつけられる。孵化幼虫は天幕状の巣に群生し食害する オビカレハ

●芽の加害

食害は主として芽内部で,虫体は暗褐色 ナシマダラメイガ
食害された芽は大きくふくらみ,虫体は乳白色ないし黄紅色 ナシヒメシンクイ

●葉,果実の加害

葉,果実にススが発生 ツノロウムシ

●果実の加害

吸収して害する 果面にすす病を併発する コナカイガラムシ類
寄生部の周辺が紅変したり,ときに亀裂を生ずる ナシマルカイガラムシ
吸汁部分が変色し果肉はスポンジ状になり腐敗する 果実吸蛾類
吸汁部がくぼみ凹凸の奇形果になる カメムシ類
産卵管で傷をつける アブラゼミ
かじって害する 外部をかじる ハマキムシ類
チャミノガ
モモシンクイガ
ナシヒメシンクイ
内部を食害する ナシヒメシンクイ
ナシマダラメイガ
ナシミハバチ
モモシンクイガ

●枝,幹の加害

吸収して害する 枝梢の表面に寄生する ナシマルカイガラムシ
コナカイガラムシ類
ナシヒメシンクイ
ナシマダラメイガ
ナシミハバチ
ツノロウムシ
かじって害する 外部からかじる チャミノガ
外部からかじる 新梢の先端・葉柄を食害し枯らす カシルリチョッキリ
内部にはいって食害する 新梢に食入する ナシヒメシンクイ
花房の根元に食入する ナシヒメシンクイ
ナシマダラメイガ
枝梢の皮下をうねうねと食害する ナシホソガ(ナシカワホソガ)
ずい部に食入する ルリカミキリ

●根の加害

寄生部が虫こぶ状に肥大し,白粉をつけている コナカイガラムシ類(マツモトコナカイガラムシ)