イネの病気

●全体の被害

萎縮 濃緑色 白い斑点 萎縮病
斑点なく稈に隆起物あり 黒すじ萎縮病
黄色 白い斑点 黄化萎縮病
茎葉が一様に黄色。葉幅が広くなる 黄萎病
茎葉が一様に黄色。葉幅が狭い小褐点がある グラッシースタント
茎葉から先端が黄化。下葉から黄化,発病株は点在 トランジトリーイエローイング病(黄葉病)
茎葉から先端が黄化。中位葉から黄化,発病株はツボ状 わい化病
緑黄濃淡のまだら斑紋 稈に黒褐色すじ状病斑 えそモザイク病
心葉が巻いてたれている 縞葉枯病
株が枯れる。葉にいもち病斑あり いもち病
株の萎縮とともに,葉先のねじれが見られる 南方黒すじ萎縮病病
徒長 ばか苗病
倒伏 葉鞘,稈の内部に小黒菌核 小粒菌核病
葉鞘に斑紋 紋枯病

●苗の被害

発芽不良 モミに綿毛ようのものがつく 苗腐病
幼苗が枯れる 苗立枯病
苗立枯細菌病
葉に褐色斑点 病斑に壊死線がある いもち病
病斑に輪紋がある ごま葉枯病
黄化して萎縮し,葉に白い斑点 黄化萎縮病
軟弱に徒長する ばか苗病
葉梢および葉身の褐色条斑,葉梢の湾曲 褐条病

●葉の被害

褐色の線状斑。穂ばらみ期以降,下葉の小維管束間に生じる 褐色葉枯病菌による穂枯れ
黄色の縦縞 縞葉枯病
葉縁から波型に白く枯れる 白葉枯病
葉先が枯れる 心枯センチュウ病
煤状のものがつく すす病
多様な病斑が現れる 褐色斑点,葉先枯れ,雲形状となる大型病斑 褐色葉枯病
斑点が現われる 斑点はまっ黒 黒しゅ病
斑点は褐色 楕円または不規則な病斑 にせいもち病
斑点は褐色黒褐色 直径0.5~2mm程度 ヨウ素の過剰吸収に起因する赤枯れ病
斑点は褐色 輪紋がある ごま葉枯病
紡錘形で,壊死線がある いもち病
両端の尖った5~10㎜の紫褐色の条斑 すじ葉枯病
病斑はネズミ色,周囲不明瞭 いもち病

●葉梢の被害

褐色の病斑 下位葉鞘から発生,楕円形で周辺褐色,内部灰白色 紋枯病
止葉葉鞘に発生,不正形大型の黒褐色水浸状病斑 葉鞘褐変病
褐色で楕円形,円形,縦長不正形,平行四辺形などの病斑 下位葉鞘から発生 疑似紋枯病
止葉葉鞘に発生,周縁不鮮明な淡褐色~褐色の斑紋 葉鞘腐敗病
水際部に黒い病斑 後茎の内側に黒く小さい菌核ができる 小粒菌核病
水際部に白色網状の病斑 葉鞘網斑病
節部がまっ黒になる いもち病
株全体が枯れ,茎の表面に白い粉がつく ばか苗病
葉節の下の葉鞘に紫褐色の大型病斑 すじ葉枯病
周縁不明瞭な褐色病斑 止葉に認められることが多く,葉鞘全体を覆う 褐色葉枯病

●穂の被害

穂首が黒褐色になり白穂になる いもち病
奇形穂ができる 黄化萎縮病
縞葉枯病
籾より大きい黒い塊がつく 稲こうじ病
穂軸や枝梗に細長い紫褐色の条斑ができ,付着籾は枯死 すじ葉枯病
籾に斑点ができる いもち病
ごま葉枯病
籾全体がはじめ灰白色のち淡黄色に変色 もみ枯細菌病
籾の表面が墨を塗ったように見える 墨黒穂病
穂発芽したように見える 墨黒穂病
籾の内部のみが褐変する 内穎褐変病
籾に輪郭不鮮明な褐色病斑 籾全体が変色することもある 褐色葉枯病
葉一面に細かい褐点が一面にひろがること,病斑がいくらかの大きいものがあっても,ごま葉枯病の病斑のように輪紋がない 赤枯病
葉の病斑は黒ゴマ状で,のちに輪紋があらわれる。みごや穂軸では,幅0.5mmくらい,長さ0.5~数cmの黒褐色条斑ができる。籾では,中心部が灰白色で,まわりが褐色の楕円形病斑を生ずる ごま葉枯病菌による穂枯れ
葉の病斑には二つの型がある。一つは,長楕円形の褐色病斑で,一見いもち病斑やごま葉枯病斑に似る。もう一つは,葉先あるいは葉縁から灰褐色部と暗褐色部が交互に波状に発達した大形病斑 褐色葉枯病菌による穂枯れ
葉では紫褐色の短い条斑。葉鞘では葉節部から下へハケで掃いたように紫褐変する。みご,穂軸でも紫褐色の条斑となる すじ葉枯病菌による穂枯れ
稈やみごの中に黒色の小さい菌核ができる。止葉葉鞘に周縁のぼやけた黒色の大きな病斑ができる 小黒菌核病菌による穂枯れ

●米の被害

全体が褐色に変色(褐色米) イネ斑点病菌による褐色米
内頴褐変病菌の褐色米
その他の菌による褐色米
全体が褐色に変色(褐色米) 部分的に黒褐色小斑点 褐色米
部分的に紅色斑点 紅変米
全体的に褐色 サロクラディウム菌による褐色米
不整円形斑紋 カメムシの口吻痕小褐点あり 斑点米1
口吻痕なし 斑点米2
腹側に黒褐色クサビ型の亀裂 黒点米2
目黒米4
黒点症状米
腹側に褐色不整形病斑 腹黒米3
不整形にえぐられたような食害痕 穿孔米
全体が光沢を失い黒褐色 黒変米3
全体褐変,胚芽部に黒緑色のカビ シェイドモス米
全光沢を失い白ボク化 胚芽部に黄緑色カビ ベルジモス米
胚芽部に白色カビ 白こうじ米
玄米の内部に黒い粉のかたまりがある 墨黒穂病

イネの害虫

●葉の加害

苗代時期からのイネの育ち初め期

発芽不良,倒れ苗,浮き苗,土中に淡い泥色の幼虫 キリウジガガンボ
巻葉,黄変枯死,暗緑や暗褐のアブラムシ トウモロコシアブラムシ
心葉枯れ,褐変枯死,根ぎわ茎内に幼虫 サンカメイガ1世代幼虫
白いカスリ状食害痕,葉先の巻葉中に淡黄色小幼虫,蛹 イネアザミウマ
食痕並列,葉は切れ水面浮遊や水底堆積 イネゾウムシ
白い縦線食痕,黒褐色の小甲虫 イネミズゾウムシ
白い断続縦線。青藍色の小甲虫。泥状物がついている イネドロオイムシ(イネクビボソハムシ)
葉が白枯れて被害部にウジが透視できる 幼虫による被害は葉の先端部 イネハモグリバエ
しだいに全葉枯死,株は腐敗臭発生 イネヒメハモグリバエ(イネミギワバエ)
幼虫は幼苗を葉の外側から食べて切り落とす(5~6月)。ただし成虫は外縁から食害するが,切り落とさない イナゴ類

イネの育ち盛り期

葉のへりからの不規則食痕,被害葉は食痕部から垂れ下がったり,甚だしいときは主脈だけ残して全葉が食いつくされたりして,次のような虫がいる シャクトリムシのように這う緑色幼虫 フタオビコヤガ
頭と尾端に1対の角状突起がある黄緑色幼虫 ヒメジャノメ
色変わりの多い筋のある幼虫群集(水害あとに多発) アワヨトウ
クサシロキヨトウ
ケムシ群の大襲来。山林,草むらなどを食いつくしながら移ってくる マイマイガ
葉先に,変色・ひずみ・まだらなどができ,株の下方に黒くて臭い虫が潜伏 イネクロカメムシ
葉に傷孔や白斑,葉鞘内に乳白色のウジ イネカラバエ(イネキモグリバエ)
葉に白色縦筋状食痕,淡緑黄色で小さなイナゴのような虫 ヒメクサキリ
心葉の黄褐変枯死,下茎部に幼虫食入 イネヨトウ
葉鞘変色,心枯れ,茎内に虫糞と幼虫 ニカメイガ1世代幼虫
分げつ期以降に心葉の先端部に心枯れ症状(黄色に退色するクロロシス) イネシンガレセンチュウ
葉面に黄色の筋,葉のへりの枯れ,被害葉はよじれて裂け,葉鞘内に乳黄色のウジまたは褐色蛹 イネクロカラバエ(イネクキミギワバエ)
茎葉変色,下茎部にササラ状暴食痕,淡緑から黄色で小さいイナゴのような形の虫 ヒメクサキリ
株の青枯れ,白っぽい褐色枯れ,下茎部に幼虫 サンカメイガ2世代幼虫
葉鞘に斑紋や変色,草丈低く多茎の株相,株の下方に黒くて臭い虫 イネクロカメムシ
萎縮して,心葉が巻いて垂れる。ヒメトビウンカによる媒介 ヒメトビウンカ

イネの結実生長期

葉や穂にスス状汚染,暗緑や暗褐のアブラムシ群生 トウモロコシアブラムシ
茎葉色あせ,葉先赤黄色化,翅のある緑色小虫群生 ツマグロヨコバイ
葉が縦に綴れ,中に次のような幼虫が入っている 綴り方が粗く中に虫糞が溜まっていない。緑がかった黄色の幼虫 コブノメイガ
しっかり綴られ,下端に虫糞が溜まっている。緑黄色の幼虫 イネタテハマキ
ツト状に綴られ,付近に幼虫の食いあと イネツトムシ(イチモンジセセリ)
葉鞘に斑紋,不稔籾をつけた出すくみ穂,短稈多茎の株相。白穂が出る イネクロカメムシ
穂は傷のついた籾をつけ,葉鞘内にウジか蛹 イネカラバエ(イネキモグリバエ)
純白できれいな白穂,下茎部にササラ状暴食痕,緑色か緑黄色でイナゴに似た虫 コバネササキリ
ヒメクサキリ
白穂と出すくみ穂,下茎部に虫糞と幼虫 ニカメイガ2世代幼虫
穂首下の茎から虫糞,茎内に赤みがかった幼虫 イネヨトウ

●根の加害

苗代時期からのイネの育ち初め期

田植え後の株の生育が不振,根が食われている 土中に淡い泥色の幼虫 キリウジガガンボ
根に太った乳白色のウジ イネネクイハムシ
土中に乳白色のウジ,根に土繭 イネミズゾウムシ
茎が外側に開いて倒れかかり,根に汚白色の幼虫 イミズトゲミギワバエ
葉鞘枯れ,折れ葉,流れ葉 ニカメイガ1世代幼虫
スクミリンゴガイ
水に浸かった部位の茎葉が鋸歯状に食害,切断される スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)

●茎の加害

イネの結実生長期

田面が突然黄枯色化,すす病併発,下茎部に小虫が群生している 枯死部は田面に不定円状,帯状などに散発,暗褐色で跳ぶ小虫 トビイロウンカ
枯死部は田面に広く出るのが普通で,黒っぽく背中の白い虫 セジロウンカ
穂の粒が不規則にかじられ,イナゴに似た緑色虫 コバネササキリ
穂首,枝梗,籾,葉鞘の表面に褐点や黄褐まだら,翅のある緑色小虫群生 ツマグロヨコバイ

●穂の加害

早生種が収穫期になっても穂が細く,青緑が突っ立ち,しいなになる 茶褐色,丸くて平たい虫 イネカメムシ
細長くて黄緑色の虫 クモヘリカメムシ
細長くて黄褐色,肩のとがった虫 ホソハリカメムシ
黄緑色の五角形の虫 ミナミアオカメムシ
籾全体が黄褐色に変色,中に黒色小成虫 イネアザミウマ

●玄米の加害

玄米の頂部に斑紋の中心点を有する。乳熟期の加害で多い カスミカメムシ類
ホソハリカメムシ
玄米の側面に斑紋の中心点を有する。一般的な発生 トゲシラホシカメムシ
オオトゲシラホシカメムシ
コバネヒョウタンナガカメムシ
イネアザミウマ
玄米の両側面に斑紋がまたがっている オオトゲシラホシカメムシ
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ
ミナミアオカメムシ
玄米の胚部に斑紋の中心点を有する オオトゲシラホシカメムシ
イネカメムシ
ホソハリカメムシ
玄米全体が変色している。登熟不良でしいなが発生し,玄米整粒にならない。一般に乳熟期の加害で多い ミナミアオカメムシ
クモヘリカメムシ
ホソハリカメムシ

●貯穀害虫の加害

籾に1か所の円形の脱出口ができる バクガ
初期に籾・玄米・精米の表面に傷をつけ,次いで内部を空洞化する コナナガシンクイムシ
穀粒表面に白色の線状痕ができ,粉が吹き出す コクゾウムシ
ココクゾウムシ
玄米の胚芽部が欠け,白米化し,幼虫が吐き出す糸で糸綴りができる ノシメマダラメイガ