2月頃、北海道でとれたにしんが身欠きにしんに加工され、「新にしん」として会津地方に出回り始めるのが春。この頃から夏にかけて、山椒の葉と酢、醤油、酒などで専用の「にしん鉢」に漬けこんだのがにしんの山椒漬けです。にしんはかたくしまった食感で、噛むたびに旨みと酸味が広がります。山椒の葉のぴりっとした辛……
身欠きにしんと山椒の葉を交互に重ね合わせ、醤油、酢、酒、みりんなどでつくったたれに1~2週間漬けたものです。さわやかな山椒の風味と酢で生臭みは消され、噛みしめるほどににしんの旨みがじんわりと広がります。おかずや酒肴だけでなくお茶うけとしても食べられます。冷蔵庫で2カ月ほどは保存できますが、山椒の……
関西独特の甘辛い味つけでやわらかく煮たにしんと、にしんの旨みがしみこんだホクホクのじゃがいもは、温かくても冷めてもおいしく食べられます。常備菜としてすぐれており、家庭で伝承されてきた昔から変わらない味です。 海のない奈良県ですが、江戸時代、さかのぼれば平城宮跡から出土した木簡などの情報から、奈良……
北海道産の昆布と身欠きにしんでつくる昆布巻きは、正月や祭りなど大勢が集まるときには、どの家庭でも必ず食卓に並びました。昆布にはいろんな種類がありますが、道南の松前や函館周辺では真昆布を使います。渡島《おしま》半島は南東部沿岸を中心に真昆布の産地で、養殖もさかんです。漁師などからもらうことも多く、……
三平汁は塩漬けやぬか漬けの魚と野菜でつくる塩味の汁で、北海道の伝統的な魚の汁です。江戸後期に各地の民俗や歴史、地理などの記録を残した菅江《すがえ》真澄《ますみ》の日記『蝦夷喧辞辯《えみしのさえき》』にサンペ汁が掲載されており、「北海道」の命名者とされる松浦武四郎の『再航蝦夷《えぞ》日誌』にも記述……
日々の食卓によく登場する魚料理で、濃い味つけのため保存がきき、まとめて煮ておけるので、畑仕事などで忙しい家庭での重宝な保存食です。かつては冷蔵庫もなく生の魚が保存できなかったので、頭と内臓をとり乾燥させたにしんが日本全国に流通していました。それは海のない地域でも食べられる、貴重なたんぱく質源でし……