農法普及2 農業往来・再新百性往来豊年蔵・満作往来・新撰養蚕往来・米徳糠藁籾用方教訓童子道知辺・三等往来(阿波)・門田の栄(三河)・勧農和訓抄(甲斐)・農業家訓記(尾張)

口絵

農業往来<のうぎょうおうらい>

土地の利用方法,農作業の勘どころ,年中行事,作物の紹介,68か国の日本国づくし,84種の職づくし,農民の生活心得など多岐にわたる。農事にかかわる事項を広く取り上げた,村役人層の子弟向け往来物=教科書。

再新百性往来豊年蔵<さいしんひゃくしょうおうらいほうねんぐら>

農家の生産や生活に直接必要な道具,肥料,副業,食べもの,家屋の造作,検見,貢納,生活の心得などの教科書。「百姓の取り扱う文字」として農具や所帯道具の1つひとつをあげ,「田畑の広さと長さの単位」まで教えている。

満作往来<まんさくおうらい>

天保4(1833)年の大飢饉の惨状を契機に執筆された。救荒食の生産・加工・貯蔵に関して細かく説明し,あわせて,ふだんから窮乏生活に耐えうる工夫と態度が必要だと,救荒への心がまえを説く。

新撰養蚕往来<しんせんようさんおうらい>

農家副業としての養蚕の経済的有利性を説き,桑のつくり方,蚕用のかごのつくり方,蚕の掃立てから給桑,上簇までの技術上の注意を細かく記す。「桑の葉をきざみ製する図」など,手順を示す図解も添えている。

米徳糠藁籾用方教訓童子道知辺<こめとくぬかわらもみもちいかたきょうくんどうじのみちしるべ>

米作の重要性,稲の副産物のぬか・わら・もみがらの有効利用を子供たちに教えるために書かれた「道しるべ」。わら利用の仕方は三十数種もある。人形の胴,畳床,馬の寝わら,屋根ふき材,わらじ,かかし,縄……。

三等往来(阿波)<さんとうおうらい>

郷土阿波国椿泊の地勢や歴史,そこに住む三等(武士・商人・漁師)の日々の暮らしぶりを漢文で叙述。漢文の入門書でもあり,子供たちに郷土の歴史・風土・人情の特性を教える本でもある。とくに漁師と魚商人について詳しい。

門田の栄(三河)<かどたのさかえ>

三河国田原藩の領民のために書かれた農法改良,合理的農業経営の書。同じ船に乗り合わせた三河・下総・摂津・九州の4人の農民の問答を通じて,「乾田化の利益」「草木に雌雄はない」「今や技術を革新すべきとき」などを説明する。

勧農和訓抄(甲斐)<かんのうわくんしょう>

飢饉が襲った天保期(1830〜43),甲斐国八幡北村の代官が領民を救うために著わしたもので,農業の起源,農家の心得,各種作物のつくり方について説く。その農業技術の核心部分は,『農業全書』『農業余話』の引用・要約からなる。

農業家訓記(尾張)<のうぎょうかくんき>

毎月の耕種・肥培・作業日程・労力見積り,暮らしの心がまえなどを具体的に記して,子孫へ農法を送り伝えている,尾張国知多郡の家訓的農書。「内向き」の家訓ではあるが,子孫へ向けての「普及」の書でもある。