口絵

<漁業>総合解題 河海から見た日本の近世——潮・魚・浦——

松前産物大概鑑(松前)<まつまえさんぶつたいがいかがみ>

蝦夷地きっての豪商であった村山伝兵衛が松前奉行の要請によって書き上げたもの。蝦夷地でとれる56種の海産物の形状・加工法・値段などが克明に記され,当時の流通実態がわかる基本史料。

関東鰯網来由記(上総)<かんとういわしあみらいゆうき>

いわし網漁が紀州から関東へ海路伝来されたこと,房総のいわし網によって生産された干鰯を売りさばく干鰯問屋組合などの成立事情,そして全国へ販売されるようになる経緯が述べられている。

能登国採魚図絵(能登)<のとのくにさいぎょずえ>

能登国で行なわれていた釣漁・網漁など17の漁法と,網の規模や経費,網のつくり方など漁業経営に関する事柄とが絵図入りで描かれている。海に生きた浦方の村々の暮らしがしのばれる。

安下浦年中行事(周防)<あげのうらねんじゅうぎょうじ>

周防5立浦の1つ安下浦におけるいろいろな漁法を月を追って述べている。当時の漁法,ほしかの製法,漁民の活動域,漁業慣行などがよくわかる。著者は庄屋で,領主層へ書き上げたもの。

小川嶋鯨鯢合戦(肥前)<おがわじまげいげいかっせん>

肥前国唐津領呼子浦を本拠地とした鯨組・中尾甚六の小川嶋における捕鯨を合戦に見立て,図絵を多用して描いたもの。勇壮活発な捕鯨の推移が,躍動感あふれる軍記物の口調で表現されている。