農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見5 自治力 愛するむらは放っておけない

地方版総合戦略

自治力

人を増やす、増えていく

季刊地域30号(2017年夏号)113ページ


 2014年に発表された増田レポートの大きな反響を受けて、少子化対策と地方対策からなる地方創生が、国の重要課題として位置づけられた。9月には内閣府に「まち・ひと・しごと創生本部」が発足、11月には「まち・ひと・しごと創生法」が成立し、国と地方で地方創生をすすめるための環境が整備された。同本部は12月、長期ビジョンと総合戦略を策定。2060年を視野に、人口減少の歯止めと東京一極集中の是正、成長力の確保を展望し、20年までの5年間に地方に30万人の雇用を創出すること、東京圏への転入を6万人減らし、地方転出を4万人増やすことで転出入の均衡をはかることなどからなる基本目標が設定された。

 国はこの長期ビジョンと総合戦略を勘案して、地域の特性を踏まえた「地方人口ビジョン」と「地方版総合戦略」を策定することを県や市町村に求めた。石破茂地方創生担当大臣(当時)が全国の首長にビデオを送るなどして、15年度内の策定を強く働きかけ、補正予算による新型交付金で後押ししたことから、ほとんどの市町村が人口ビジョンと総合戦略を策定した。しかし、検討期間が短かったこともあり、コンサルタント依存になりがちで、全国の自治体で似たり寄ったりのプランになってしまった感は否めない。

 そんななかで、「自然栽培の聖地になる」と宣言して移住者を募り、自然栽培に取り組む農家への助成や青年就農給付金の独自上乗せ、自然栽培の生産法人設立などに取り組む石川県羽咋市など、いくつかの自治体でユニークな総合戦略も生まれている。

 また、以前から地区単位でまちづくりをすすめてきた自治体では、短期間でもボトムアップ型で地方版総合戦略を立案することができた。トップダウン型でとりあえず間に合わせた自治体では、今後、地域運営組織など小さな単位でよりきめ細かな戦略を立てるなど、住民自身の手で計画を肉付けしていくことが求められている。

→「『人口減少に立ち向かう市町村』取材の現場から」22号(2015年夏号)、「『自然栽培の聖地になる!』と宣言した石川県羽咋市の話」27号(2016年秋号)

トップへ戻る