農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見5 自治力 愛するむらは放っておけない

むらの店

自治力

困りごとから「むらの仕事」へ

季刊地域30号(2017年夏号)108ページ


 店やJA支所が撤退し、買い物不便なむらが増えている。生鮮食品や日用品を近くで入手できないのは不便だし、暮らしにくいと住民がむらから中心市街地へ出ていく要因にもなってしまう。災害でむらが孤立した時も心配だ。そんな不便や不安を解消するために、住民たち自らが経営する店を「むらの店」という。

 岡山県津山市阿波《あば》地区では住民出資で合同会社を立ち上げ、店とガソリンスタンドの経営を、撤退するJA支所(廃JA支所)から引き継いだ。日々の運営は役員が担うが、出資者は全員が経営に責任を持つしくみ。店長にはUターン者を雇用した。若き店長は住民の要望を細かく聞いて商品仕入れの無駄をなくし、灯油の配達も兼務して人件費を抑えている。JAは儲からないから店を手放したわけで、経営者が代わったからといって売り上げは簡単にはアップしないが、住民みんなが当事者の「あば商店」なので「買い支える」意識が高い。

 むらの店は一般に、大量仕入れの大手スーパーと比べると商品の価格が高くなりがちなのが悩み。だが島根県雲南市波多地区が始めた「はたマーケット」は、全国各地の小売り店の共同仕入れ組織・全日食チェーンに加盟することで、スーパーと遜色ない品揃えと価格を実現できている。全量買い取りだが小口発注が可能で、毎日新鮮な食材が配達されるしくみだ。

 一事業者では経営が難しい田舎の小さな店も、地域が受け皿となって住民が買い支えたり、ガソリンスタンドや簡易郵便局、直売所ほかいろんな事業を組み合わせたり、小さい店同士の連携を活かしたりと、続ける工夫はいろいろある。今や、地域の拠点機能を持つ大事な存在だ。

→「店がなくなった地域にできた2つの店」23号(2015年秋号)、「過疎地にも店を! 全日食チェーンが挑戦開始」24号(2016年冬号)、「特集 どれがいい? むらの仕事のカタチ」29号(2017年春号)

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