農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見4 自給力 何でもつくる、みんなでつくる

むらの葬式

自給力

季刊地域30号(2017年夏号)107ページ


 かつて通夜や葬式は、地域住民に食事や段取りなどを手伝ってもらいながら自宅で執り行なうものだったが、葬儀屋に一任して地域から離れた斎場で挙げることが増えてきた。たしかに高齢化・過疎化で人手不足の折、以前のようにすべて住民たちでやるのは現実的ではないが、葬式は本来故人をしのびつつ、むらの結束や地域のつながりを高めあう場でもあった。そのことに気付いた地域では、お互いの負担を減らしつつ地域で継続するための新しい葬式の形が少しずつ生み出されている。

 長野県根羽《ねば》村では、とくに集落の女性たちの負担が大きい葬式当日の食事づくりを、村全体の女性たちでつくる葬式料理請け負いグループが賄うことにした。経費は葬儀屋まかせにする場合の4分の1ですむし、村内の多目的ホールを会場にできるようになって地元の人間もみんな参加しやすい。また村の若い女性をグループに巻き込むことで、地域の葬式料理を伝承する場にもなっている。

 島根県雲南市の槻之屋《つきのや》振興会でも、以前は葬式となれば住民総出で夫婦2人が丸3日間、万難を排して役割をこなしてきたが、このやり方ではもう次世代に引き継げない。そこで新しい葬式マニュアルを作成。自宅葬をやめて集落の会場を使うことにしたり、賄い食の回数を減らしたり、香典返しをなくしたりするなど、簡素化しつつも葬儀屋まかせにはしない、みんなが納得する形に改善した。

「むらの自給力」の強さとしなやかさは、葬式にも見ることができる。

→「特集 葬式をむらに取りもどす」14号(2013年夏号)

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