農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見4 自給力 何でもつくる、みんなでつくる

石積み

自給力

季刊地域30号(2017年夏号)103ページ


 傾斜地で、農地や宅地などの平らな土地を確保するために、石を積んでつくった土留め擁壁のこと。または石を積む作業そのもの。日本の農山村の棚田や段々畑で多く見られ、美しい農村景観を形成する要素のひとつ。

 農地の石積みは、主に「空石積み」という工法で行なわれてきた。モルタルやコンクリートを石の裏に充填して固める「練り石積み」と違い、使うのは石だけ。崩れても部分的な積み直しが可能で、石も再利用できるので費用が安くすむ。地域資源を循環させる持続可能な工法として、環境的な面からも見直されている。

 空石積みは、何百年も前から各地で脈々と受け継がれてきた農家技術の一つ。しかし近年は崩れたところからコンクリートに代わっていき、多くの地域で技術の継承が途絶えつつある。今ならまだ技を持つ業者(職人)がいるので修理を頼むこともできるが莫大な費用がかかるし、積む人によって強度が変わる空石積みは強度計算ができず、公共工事はしてもらえない。つまり、農村の美しい石積み風景を残そうと思ったら、自分たちで石積み技術を習得・伝承していくしかないのである。

 地域ごとにまるで違うようにも見える石積みだが、基本の構造はだいたい共通。使っている石が、山から切り出してきたゴツゴツしたものか、川から拾ってきた丸みを帯びたものかなどで、違って見えているだけだ。「石積みは特別な技術ではありません。たしかに美しく積むには熟練が必要ですが、いくつかのルールさえ守れば、崩れない石積みをつくることはそれほど難しいことではありません」というのは、東京工業大学大学院准教授の真田純子さん。「石積み学校」と銘打って、興味のある人が気軽に参加できる石積み修復ワークショップを開催。技術の継承に尽力している。

 石積みは、修復途中で雨が降ると崩れやすくなるし、なにせ人手がいる。大人数で一気に仕上げたほうがいいので、地域みんなで楽しく取り組むのにピッタリだ。

→「石積みの技も習得する!」28号(2017年冬号)、「『石積み学校』に行ってみた」30号(2017年夏号)

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