農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見3 農が基盤、農家が基盤

集落営農

農、農家

助け合って続けていく

季刊地域30号(2017年夏号)97ページ


 農水省は集落営農について、「『集落』を単位として、農業生産過程における一部又は全部についての共同化・統一化に関する合意の下に実施される営農」(「集落営農実態調査」)と、「営農活動」に限定して定義している。しかし、たとえば島根県は「農業生産の維持や農地の維持だけでなく、経済の維持(高齢者の生き甲斐や所得確保等)、生活の維持(地元住民の生活支援や福祉活動・美化・環境保全活動)、U・Iターン者を含めた地域の人材の維持などを行う地域営農組織」を「地域貢献型集落営農」と定義しており、山口県は「集落営農とは、農地の荒廃を防止し、集落のくらしを維持するために、合理的で効率的な農業経営を行う相互扶助の仕組み」と定義づけるなど、先進的な府県ほど暮らしや環境の維持活動も含めた多様な定義づけを行なっている。

 これについて農山村地域経済研究所の楠本雅弘氏は、『進化する集落営農 新しい「社会的協同経営体」と農協の役割』(農文協、2010年)において、集落営農は次の三つの不可分な機能(あるいは本質)によって全体を形成されており、この三つのどれにウエイトをおいてとらえるかで定義の差異や幅が生じると述べている。

(A)農地・農道・水路・ため池・里山などの地域資源を協同(協働)で維持・管理する機能。

(B)それらの地域資源を活用し、地域住民の労働力、資本(資金)を結集して効率的な農業生産活動を行なう地域経営組織。すなわち地域マネジメント、コミュニティビジネス機能。

(C)地域住民の定住条件を維持・改善し、生活や暮らしを支える地域再生・活性化機能。

 ちなみに楠本氏は、同書において集落営農が「私的利益を追求する『私的資本』とは異なる、地域社会の公益を目的に拠出され蓄積・管理される『社会的資本』によって、持続的に『経営体』として運営される自治的組織」=「社会的協同経営体」に進化しつつあり、農協は「旧村や集落段階に集落営農を組織する支援をし、農協も出資して一構成員となり、目標を共有し、一緒に地域再生活動に参画」すべきであるとしている。

 2015年段階で全国に1万4853の集落営農組織があり、うち法人格を有するのは3622(農事組合法人3147、株式会社446、合名・合資・合同会社21、その他8)。5年ごとの設立年次別にみると、2004年から08年に設立された組織が6553と半数近くを占める。これは、国の政策的支援の対象を4ha以上(北海道は10‌ha以上)の認定農業者、20‌ha以上の集落営農組織とした07年の品目横断的経営安定対策をきっかけに設立された集落営農組織が多いためと考えられる。最近では「農家組織から地域組織へ」を合い言葉に、地域運営組織化をめざす集落営農組織も現われてきている。

→「特集 どれがいい? むらの仕事のカタチ」29号(2017年春号)

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