農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見3 農が基盤、農家が基盤

企業参入

農、農家

「小さい農家がたくさん」が強い

季刊地域30号(2017年夏号)96ページ


「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指す首相のもと、規制改革会議らは企業の農業参入、究極には農地所有解禁を目指し、着々と野望を実現中だ。国家戦略特区となった兵庫県養父市では、一般株式会社の農地購入が始まった。

 実際、「農業をやってみたい」という農外企業は多く、2009年の農地法改正で農地のリースが自由になってからは、それまでの5倍のペースで参入企業が増加。農水省の発表では、「農地を利用して農業経営を行う一般法人は16年12月末で2676法人」に達している。

 だがその参入企業の様子を一つ一つ見てみると、必ずしも国や規制改革会議らが目指す方向とは一致していない。まず、ほとんどの参入企業が「農地はリースで十分。所有するつもりはない」との意思を示しており、純粋に農業経営を目的とした場合には農地購入の必要性は薄く、かえって経営リスクを高める要因になることがうかがわれる。また、主な作目に土地利用型の稲作・畑作を選択する企業は少なく、野菜などの集約型の経営がほとんど。借地面積は5ha以下の企業が9割で、比較的、小規模経営。「これからは、農地中間管理機構を通じて企業に農地を集めていきたい」という国の思惑ともずれている。土地利用型でやっている企業もあるにはあるが、地元の土建業者などが立ち上げた農業生産法人が多く、外から来た一般法人には難易度が高そうだ。

 参入企業に対しての地域の農家の受け止め方は、企業が地域の一員としての役割を果たそうと努力している限り、そう悪くはない。このあたり、新規就農のIターン者をむらに受け入れ、一人前にしてやろうという感覚と似ているのかもしれない。企業の持つ販売力や企画力、資金力はそれなりに魅力。むらは、新しい力を仲間として取り込みながら、次へ進んでいくようだ。

→「特集 農家・農村は、企業とどうつきあうか」15号(2013年秋号)、「イオンの農業参入の現場を訪ねて」23号(2015年秋号)

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