農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見3 農が基盤、農家が基盤

飼料米

農、農家

「小さい農家がたくさん」が強い

季刊地域30号(2017年夏号)92ページ


 家畜の飼料用に生産された米。エサ米ともいう。茎葉も含めた稲株全体をエサにする飼料イネ(WCS)は、食物繊維が多い粗飼料だが、飼料米はカロリーが高い濃厚飼料。アメリカからの輸入が多い飼料用トウモロコシとタンパク質やカロリーはほぼ同じなので置き換えが可能だ。農水省によると潜在需要は450万tにもなるという。

 2008年度から新規需要米として「米で転作」が認められると、従来の食用米と同じ機械でつくれることから、米粉用米とともに作付面積が増加した。14年度からは、収量が多いほど補助金の額が上がる数量払いが導入され(10aあたり最大10万5000円)、稲作農家の増収意欲を喚起。面積が急増し、16年度は9万1169ha、生産量は48万tまで増えている。

 濃厚飼料に使われる穀物の国内自給率は11年時点でわずか12%だが、飼料米の作付けが増えることで日本型畜産への道も拓けてくる。国全体としてのエサの自給率を高めるだけでなく、飼料米は地域内での畜産農家と稲作農家の連携・交流をもたらした。そのなかで、エサとしての給与技術や運搬、加工、保管などの工夫も生まれている。

 飼料米をいちばん使いやすいのは、モミのまま給与が可能なニワトリだが、モミ米サイレージ(SGS=モミに傷をつけて加水、乳酸発酵させた飼料)は牛や豚への給与が可能だ。破砕機さえあればカネも手間もかからない地元流通向きの加工方法でもある。一般に使われる配合飼料(トウモロコシを中心にほかのエサを組み合わせた濃厚飼料)に比べると飼料米はタンパクが低いが、組み合わせるエサの選択や、血中(肉牛)、乳中(乳牛)の尿素態チッソを目安に量を加減して使いこなす技術も確立されてきた。

 青森県十和田市で稲作2haと繁殖和牛(母牛23頭)の経営をする福澤秀雄さんは、2013年に仲間と「SGSフロンティア十和田」を結成した。飼料米の生産、SGSへの加工、販売を担う任意組織だ。この組織ができたことで、稲作農家には飼料米の補助金が、フロンティア十和田には加工賃とエサ代が入り、畜産農家は安くて安心安全な地元産のエサを手に入れることができるようになった。福澤さん自身、エサ代は4分の1程度に激減。地域でエサが自給できれば小規模でも畜産経営が続けられると実感している。

 山形県真室川町では、JA真室川が核となってSGSによるエサの町内自給が進んでいる。飼料米の地元流通には、米の流通を担うJAにこそ力を発揮してもらいたいところだ。

→「特集 飼料米、地域の所得アップにつなげたい」17号(2014年春号)

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