農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見3 農が基盤、農家が基盤

小農の使命

農、農家

「小さい農家がたくさん」が強い

季刊地域30号(2017年夏号)91ページ


 自称「小農」「チマチマ百姓」の福島県いわき市・東山広幸さんの経営は、機械投資も肥料代も少なくて、生産と暮らしが一体となっているぶんリスクに強い。少量多品目生産で消費者と直接つながっているぶん政府の政策や価格変動、気象災害にも左右されにくい。小農は、「それほど儲からない代わりに、急に家計が苦しくなることもない」というのが彼の実感だ。

 だが今、そんな東山さんにとっての一番の脅威は、まわりの農家の減少だという。耕作放棄地が増えるとイノシシが増えて畑に被害が出る。水路など、みんなで守る中山間地のインフラがダメになると米つくりもできなくなる……。小農が小農として生きていくには、むらがむらとして機能していなくてはならないのだ。

 だから、地域で生きる小農の使命は「むらに農家を増やすこと」となる。小農を減らすような今の政策に反対していくと同時に、自分たち自身でも使命感を持って新たな仲間を農村で育てていく。近年は幸い、農業に興味関心を抱く若者や都市民が増えており、彼らの多くは生産と暮らしが一体となった小農的な生活スタイルを志している。

 近年の新規就農のあり方はさまざまで、親元就農や農業委員会経由で農地を借りたりするほかに、血縁のない人から経営基盤を丸ごと引き継ぐ「第三者継承」が注目されている。集落営農などの農業法人に就職する「雇用就農」も増えてきた。

 ただどんな場合でも、先輩農家が口を揃えて新規就農者に言うのは、仲間として地域に認められ、受け入れてもらうことが何より大切だということ。そのためにも、「まじめに田んぼを見回る姿をむらの人に見せろ」「ハウスは中だけでなく外もきれいにして、『あんなヤツに貸さなければよかった』と思われないようにせよ」と、金言のアドバイス。「小農は、地域とともにしか生きられない」ことを、未来の小農に伝えること。これまた小農の使命。

→「特集 小農の使命 むらに農家を増やすこと」26号(2016年夏号)

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