農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見2 地エネを生み出す力もある

小さい木質バイオマス発電

地エネ

季刊地域30号(2017年夏号)86ページ


 木質バイオマス発電は、薪やチップ、ペレットなど木材由来の燃料を燃やし、発生した蒸気やガスで発電機のタービンを回す。太陽光、風力、水力、地熱利用などと並ぶ再エネとして注目されるが、発電のためには燃料供給が必要な点が、ほかと異なる。

 2012年7月のFIT(電力の固定価格買取制度)開始で、未利用材(林地残材など)を燃料とする木質バイオマス発電の買取価格が、従来の1kWh7〜8円から32円(税別)に大幅アップ。新規参入企業が押し寄せる事態となった。15年時点でのFIT認定件数は58件(うち稼働件数は25件)、出力5000〜1万kW規模の大規模な発電所計画が多く、これらがすべて稼働すると、日本全国で一気に数百万〜数千万m3という膨大な木質バイオマス需要が生まれることとなる。

「C材の売り先ができた」「バイオマスに出すと木を高く買ってもらえる」と、発電所ができて、さっそく山仕事に力が入るようになった地域も多く出てきている。だが、このまま建設が進んでいくと「未利用材のぶんどり合戦になるのでは」「間伐ではなく、山を皆伐してハゲ山にしないと木が足りないのでは」と懸念する声も多い。

 国がモデルとしている5000kW規模の発電所で試算すると、1カ所で年間約10万m3の未利用材が必要で、これは千葉県や富山県の年間木材生産量を上回る量である。本来は、周辺地域で入手可能な間伐材の量に応じて、バイオマス発電所の規模を決めるべきなのではなかろうか。

 14年から小さな発電を開始した宮城県の気仙沼地域エネルギー開発(株)では、最初から市内半径25km圏内を集材目標に設定。年間1万5000tほどの間伐なら、山が元気な状態でうまく回っていきそうだと試算した。そしてその5〜6割、年間8000tほどの燃料チップで動かせる規模を適正規模と判断、出力800kWの発電所を建設したのだ。売電だけでなく、発電と同時に排熱回収する熱電併給(コジェネ)で地元ホテルへの売熱も実現。自伐林家養成塾などの開催で、山に入って木を切る人を少しずつ増やしながら燃料材の買い取りも進めている。この地域では木質バイオマス発電所ができたおかげで、今まで見て見ぬふりをしてきた山に手が入り、小さな経済が回り始めている。

 適正規模の木質バイオマス発電にもう一つ朗報。2015年4月、未利用材を燃料とする2000kW未満の発電所からの買取単価が32円から40円に引き上げられた。

→「特集 木質バイオマス発電計画が心配だ」18号(2014年夏号)、「特集 山を元気にできる 小さい木質バイオマス発電」21号(2015年春号)

トップへ戻る