農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見2 地エネを生み出す力もある

小水力発電

地エネ

季刊地域30号(2017年夏号)85ページ


 文字どおり、小さい規模の水力発電のことで、水の落差を利用して水車(タービン)を回し、その回転を発電機に伝えて電気を起こす。一般的には最大出力1000kW以下を「小水力発電」と呼ぶ(さらに、100kW以下をマイクロ水力発電、1kW以下をピコ水力発電と細分化する場合もある)。

 雨量が多く急勾配の河川が多い日本の風土に適した発電方法。農村地域では無灯火地帯の電化のために戦前から増え始め、1952年に農山漁村電気導入促進法が制定されると、中国地方を中心に建設ラッシュとなり、全国で200カ所近くの小水力発電所が設立された。高度経済成長期以降は火力発電や原発が急伸したが、現在でも中国地方では50カ所以上の小水力発電所が存続している。農協が運営主体となっているところが多いのも特徴だ。

 小さい水力発電は個人の農家にも人気がある。庭先をチョロチョロ流れる小川、田んぼの用水路、山の雪解け水など、目の前の水流を電気に変えられたら……と夢見る人が非常に多い。実際、岡山県高梁市の坂本年生さん(75歳)は、落差5mの農業用水路に自作の上掛け水車を設置。ハブダイナモ(自転車ライトの発電機)につないで、自宅のトイレや駐車場など合計10カ所のLEDライトや電気柵の電気を自給している。

 小水力発電は、天気や風量に発電効率が左右される太陽光発電や風力発電と違って、水の流れさえあれば一年中・24時間発電が可能。出力が小さい装置でも、年間の発電量は意外と大きい。水車のタイプもいろいろ出てきた。落差が小さい用水路にも向く「らせん水車」や、流量が不安定な山間部向きの「クロスフロー水車」など、選ぶのも楽しい。設置場所は、かつて粉挽き水車があったところが狙い目。先人が水流を読んで選び抜いた場所に違いないからだ。

 FIT(電力の固定価格買取制度)では、小水力発電の電力買取価格が以前よりグンと上がった。個人では売電するほどの発電量にはなかなか至らないが、土地改良区ではこれを機会に小水力発電を開始する例が多い。売電収入を土地改良施設の維持管理費に充てて地元農家の賦課金を軽減するなど、地域へ積極的に還元している。

→「特集 いまこそ農村力発電」7号(2011年秋号)、「特集 もっと使える水の力」14号(2013年夏号)

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