農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見1 地域資源にあふれている

田舎の墓

地域資源

見えない宝はもっとある

季刊地域30号(2017年夏号)83ページ


 地元を離れすっかり都会人になった人も、空き家になった実家はたたんでも、墓だけは今でも田舎に残している人も多い。最後に戻れる場所があることの安心感。田舎の墓は、都会とむらとを確かにつないでくれていた。

 だが近年、田舎の墓を引き払って都会の墓に遺骨を移す人も増えていて、都会の墓ビジネスは大繁盛。遺骨が入った骨壺を預かるビル内のロッカー式納骨堂や、まったく知らない他人と一緒の墓となる合祀墓など、安くて手間がかからない供養が人気で墓の商品化がどんどん進んでいる。これらの大半は永代供養で、墓守りや法要などすべて寺院や霊園にお任せのため、次第に墓参りの足も遠のいてしまう。

 一方、田舎の墓は先祖からつながる「DNA」を実感し、伝える場だ。年に1回でも2回でも田舎に帰って墓掃除をしたり、手を合わせることで先祖や両親のことを思う。連れてきた自分の子にも話す。そうやって田畑や家を受け継ぐことの価値が次の代へと伝わっていくのではないだろうか。

 そうした地元出身者と地域との縁こそ「見えない宝」。そして、この縁を守ろうという試みも各地にある。墓の掃除や供花を代行する「墓守り隊」が結成され、「むらの仕事」の一つになっている。

→「特集 墓がつなぐ地元との関係」26号(2016年夏号)

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