農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見1 地域資源にあふれている

空き家

地域資源

じつは、活かせるインフラも豊富

季刊地域30号(2017年夏号)79ページ


 空き家は年々増えており、2013年の総務省調査によると全国で約820万戸、空き家率はなんと13・5%にもなる(うち別荘などの二次的住宅は41万戸。これを除くと空き家率は12・8%)。空き家が増えると防災・防犯上よくないし、古くなれば倒壊の危険もある。15年には危険な放置空き家を行政が強制的に取り壊せる「空き家対策特別措置法」も施行されて話題になった。そんな厄介者の空き家も、うまく活かせば地域に人を呼びこむきっかけにできる。

 まずは、外からの移住希望者のために、集落に空き家がどのくらいあるかを調査する。そこでよく出くわすのが、「空き家はあるけど貸し家はない」という状況。家主はたいがい町場へ出た地元出身者。親が亡くなったり施設へ入居したりして、生まれ育った実家に誰も住まなくなったというパターンが多い。いざ貸せ、といわれると、「仏壇や荷物が置いてある」「赤の他人に貸すなんて不安だし面倒」と躊躇の気持ちが出てくる。

 岡山県美作《みまさか》市梶並地区でつくる梶並地区活性化推進委員会では、増え続ける空き家を活用するためにそんな家主たちと交渉し、「開かずの間をつくって、そこへ荷物をまとめて入れておく」ことを提案。また移住希望者にも直接面談し、「人となりを判断して本当に地域に来てほしい人を選ぶ」ことで家主の不安を解消。移住希望者のためには、お試し住宅制度も設けた。地元住民である委員が、家主と移住希望者の間に立つことで、貸借がスムーズに進んでいる。

 ところで空き家調査の際、「今は空き家でも、いつか帰るかもしれないし、貸したくない」という家主がいたら、その人の心はきっとまだしっかりと故郷のむらにある。無理に空き家を貸してもらう算段をするよりも、「地元出身者」として外側からのサポートを頼むほうがいいかもしれない。むらとの絆をどんどん深めておけば、やがてUターンして地域を支える人材になる可能性もある。空き家調査を「貸せる空き家の発掘」だけでなく、こういう「人材の掘り起こし」につなげることも大切だ。

→「特集 空き家を宝に」3号(2010年秋号)、「特集 にぎやかなむらに! 空き家徹底活用ガイド」22号(2015年夏号)

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