農村力発見事典 『季刊地域』の用語集 59ワード

農村力発見1 地域資源にあふれている

皮・角・肉利用

地域資源

山の恵みは無限大

季刊地域30号(2017年夏号)77ページ


 鳥獣による農業被害額は年間約200億円。各自治体でも報奨金制度などを設けて捕獲に力を入れてきた。しかしせっかくシカやイノシシを捕まえても、食べきれない、売り先がないなどの理由で現場に埋めて捨てることも多く、食肉利用率はわずか約14%。肉はもちろん、皮も角も命ある獣の恵み。すみずみまで活用したい。

 獣皮は解体後ほとんど即廃棄されているのが現状だが、2013年、東京の業者らが皮なめしの受託プロジェクトを始めたことなどもあり、捕獲した産地が自分たちで皮革製品に加工する動きが少しずつ始まっている。

 シカの角も使いようだ。丈夫で滑りにくいのでナイフの柄にしたり、輪切りにしてアクセサリー加工する人もいる。

 肉利用も、ジビエという言葉が世の中に広まり、地道に進んでいる。イノシシ肉に比べてシカ肉は「くさい、パサパサでまずい、硬い」といわれてきたが、これは処理の仕方と調理の仕方で克服できる。血に鉄分が多くて肉が酸化しやすいのがシカのくさみの原因なので、止め刺し後すぐ解体して内臓を取り出し、十分血抜きするのがポイント。高知県大豊町の猪鹿工房おおとよでは、仲間の猟師から「ワナにかかったで」と連絡をもらったらすぐに取りに行き、シカを生きたまま仕入れる。獣肉加工所で一気に止め刺し・解体・血抜きすることで肉の劣化を防いでいる。調理のコツは、火を通しすぎないこと。肉の水分を逃がさないようにタレに漬け込んでから焼くのもいい。硬い部位は燻製にしたり、犬用のジャーキーにする工夫もある。低脂肪で高タンパクでヘルシーな肉。「脂が少ない、くさい」と冬イノシシより人気がない夏イノシシも、同様の処理で十分おいしくなる。

 肉を販売するには、保健所の許可を得た獣肉加工所内で解体する必要がある。山中から2時間以内で運び込めるような加工所が、むらに1軒あると理想的。捕獲現場近くで解体できるように、保冷庫や解体室を内蔵した移動式解体処理車(ジビエカー)も開発されて話題になっている。

→「特集 獣の恵み 皮・角・肉を利用する」15号(2013年秋号)、「猟師に聞く シカ・イノシシの獣肉加工所 黒字のコツ」24号(2016年冬号)

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